第5位 愛たち、ところどころ(『とんぼ詩集』収録)

見つめていた

セーターを脱ぐ君を見つめていた

涼しい風が吹いていて

君は動き回って汗をかいていたのかそれともこれから動き回る予定なのか

真っ白いセーター 首元に青いラインが二本

着慣れたセーターのはずなのに君は首をつっかえさせていておもわずおかしくて笑ってしまう

その愛おしさを見つめていた


見つめていた

ブランコに揺れる君を見つめていた

もしくは揺りかごか揺り椅子かハンモックか

とにかく君は心地よさそうに揺れていて

陽の光が君を暖めていたような気がする

僕は君の揺れに合わせて いや合わせていたわけではなく自然にそうなったのだけれど

一緒に揺れて目を閉じてみた


君はトレーラーを足の指で掴んだ

大きなランドルト環が遠ざかっていく 君は目を凝らす

コンテナを縦に積んで君はだるま落としを始めた


愛たちは男のサングラスを外し

君の髪を白くさせ

僕たちをすれ違わせた

ところどころ気まぐれを起こしながら


君の死に泣く僕の涙を

拭う君 笑っている

いや

拭って欲しいと願っている


君は愛たちに包まれて目を閉じたらしい

僕が見つめた

あの愛たちだろうか

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