とんぼ玉入門詩集
とんぼ玉骨太郎
第1位
第1位 君への憧憬(『とんぼ詩集』収録)
君のお腹は思っていたより冷たかった
なぜだか私はお腹というものは暖かく私を包み込んでくれるものだとばかり思っていたようだ
君の腕は思っていたより細かった
なぜだか私は腕というものはしっかりとしていて誰かを支えるためだけにあるものだとばかり思っていたようだ
君の頬には産毛が生えていた
私はびっくりして思わず自分の頬を触って確かめてみたくなった
頬に毛が生えているなんて思いもしなかった
君の鎖骨には溝ができていた
私はなぞってみたくなる
溝の中に鼻を突っ込んでそのまま全身をひとひねりしたら鎖骨の中に飛び込めるような気がした
君の家は思っていたより汚くて
君の作るご飯は私の舌には合わない
君は靴を揃えない
君はタイピングがすごく遅くて
電気を消して寝ることができない
明日の予定を立てずに眠る
足癖が悪く寝相も悪い
寝言で私の名前を呼び
照れると私の腹を蹴る
私は君への憧憬を捨て
てざわりの君を拾い始めた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます