8月1日 木曜日 PM8時(2)

 ふいに女子高生のスカートと、白いパンツが、視界に飛び込んできた。

 うわああ。

 俺が生垣からがばっと起き上がると、女子高生は「きゃああ」と飛び跳ねて、距離をとった。

 女子高生は眼を大きく開けて驚いた表情をしている。

 当然と思う。突然生垣の中から、男が現れたのだ。

 ラティが、俺の肩をつかんだ。

「襲い掛かっちゃダメだよ、普通に犯罪者になっちゃうからっ」

 女子高生は小走りで、逃げていく。スカートがひらひらとゆれて、その下から健康的な太ももが、白く輝いて見えた。俺はその光景をぼんやりと眺めていた。

「あの子は?」

「へ?」

「あの子とやれないかな?」

「ううん、どうかな……」

 女子高生は、ある程度、俺たちから離れると、安心したのか走るのをやめて普通に歩き出した。その様子を外灯がスポットライトのように映し出している。

 しばらくの沈黙の後、ラティは「いけるんじゃないかな?」と言った。

 俺はロケットのように草むらから飛び出し、彼女を追いかけた。


 彼女の名前は 桃果というらしい。17歳で、その日は部活の帰りだったらしく、部活は茶道部らしく……俺の知っているのはそれだけだ。


 2時間後、俺は桃果をアパートに連れ込み、童貞を卒業した。

「痛かった?」自宅のシングルベッドで、俺は横に寝ている桃果の髪をなでていた。

「ううん」桃果がくりっとした瞳で見つめてくる。

「初めてだった?」(俺もだけど)

「……うん」ぎゅっ、と桃果が腕にまとわりついてきた。

 キローン。ラインの着信音が鳴った。

 桃果はパタっと起き上がってスマホを見た。

「やばいお父さんからだ。うち門限あるんだ。もう帰らないと」

「あ、ああ」

「シャワー借りて良い?」

「ん、ああ」

「ありがと」

 桃果はするっとベッドから起き上がると、風のように洗面所のほうに向かい、しばらくすると、シャワーの音が聞こえてきた。

「気持ちよかった?」今まで実体を消して、透明化していたラティが、枕元にふっと現れて、尋いた。

 俺は驚かなかった。見えないけど、そばに居るような気はしていた。

「すっごい、気持ちよかった」覗き込むように見つめるラティに向かって、にこっと笑った。

「楽しそうに腰ふってたね」

「ああ」

「契約成立だね」

「ああ」

「しばらくの間、一緒にこの家に住まわせてもらうけど、良い?」

「まあ、いいよ」

「女の子を連れ込んだ時は、姿を消すよ」

「そうしてくれると、助かる」

 パタン、とバスルームが開く音がして、ラティはふっと消えた。

 バスタオルを胸に巻いた桃果の、ぴちぴちの太ももが見える。

 明日から、このコと、やりまくろう。

「駅まで送るよ、あと、ライン教えてくれる?」

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