第8話 バンド結成3
サラマンダーの大ホールの大きさはプロのバンドがライブ会場に使ってもおかしくない程の大きさである。エバ意外にも入り口で口を開けて固まっている生徒がちらほら見える。
「そんなとこで固まってんじゃねーよ……」
キッドに言われてようやく石化が解ける。
「でも、本当に大きいホールですね!」
「こんなの学校のレベルじゃないよね……」
「確かにでけえな! てか、こんなでかいホールって全校生徒何人居るんだよ……」
「一クラス大体50人ぐらい居て、10クラス、それが3学年分と、教師が50人……多いですね……」
「そんなに居るのかよ……絶対覚えられねえ」
「俺も無理だと思う……」
「私も……」
そんな会話をしているうちに集会が始まり、校長先生のありがたい話など、至って普通の集会が終わり、エバ達は教室に戻った。
「よーし、じゃあ今からホームルーム始めるぞー、今日のホームルームは自己紹介と明日からのちょっとした説明な? じゃあ廊下側の席から始めてくれ。」
ガロンの言葉を合図に自己紹介が始まる。各々種族と楽器を弾く生徒は得意な楽器を、歌を歌う生徒はジャンルを名前に添えて自己紹介をしていた。緊張してる生徒や、笑いを取るもの、自己紹介は順調に進んでいった。
「はーい、じゃあ次の人ー」
そう言われて立ち上がったのは、ドワーフの女子だった。
「私はドワーフの【ワルフ=エレナ】よ! 歌はラップしか歌わないわ。楽器はDJブースしかいじれない。あと、自分でDJブースを作ったりもしてるわ。よろしくね!」
【ワルフ=エレナ】身長は150センチぐらいで女子の中でも小さい方だろう。ドワーフなので女子だが筋肉が少し付いている。髪型は黒色のショートで、パーマがかかっている。
「女子でラップってできんのか?」
「ドワーフはラップ上手いけど、女子でってあまり聞かないよな?」
「ラップなんて男っぽいジャンルやらないよね普通……」
「はいはい、そーいうのこのクラスでは要らねーぞ? 音楽は個人の自由だからな。女子がラップして何が悪い?しかも、エレナのラップまだ聞いたことねえだろ?」
ガロンの一言でエレナへの批判が止む。武力は無くなったとはいえ、まだ言葉での暴力は無くならないのが事実であった。とは言え、流石は教師である。この場を上手く納めたのであった。
「悪いなエレナ。」
「大丈夫です! こんなの言われ慣れてるわ。私のラップを聴いた時の反応が楽しみね!」
そう言って僅かに口の端を上げたエレナであった。
「じゃあ自己紹介再開するぞー」
ガロンの一言で自己紹介が再開する。アメリの前まで自己紹介が終わり残りはアメリ、エバ、キッドの順番である。
「次は私ですね! 皆さん始めまして! エルフのサン=アメリです! 楽器はハープも弾けますが、メインはギターです! 歌はあまり得意ではありません……よろしくお願いします!」
「あの子可愛いな……」
「だよな? 俺も思った!」
「アメリ様……」
エレナの時とは違うざわつきが広まった。アメリは顔を真っ赤にして席に座った。
「すっかり人気者になったじゃねーか!なあ? エバ? 」
「そうだね……なんか変な事言ってる人も居たけど……」
「やめて下さい!それより、次はエバですよ?」
「そうだった! アメリの後やりづらいな……」
そう言って、恐ろしく遠慮しながら席から立ち上がった。
「えー……皆さん始めまして。ヒューマンの重葉 奏です。楽器はギターしか弾けません。自分で作詞をして歌ったりもしてます。よろしくお願いします……」
「パチパチ……」
「反応しょぼすぎ」
「やめて下さい、キッド」
キッドとアメリは下を向き小刻みに震えている。
「だからアメリの後嫌だったんだよー」
エバはそのまま机に突っ伏した。
「あー!おもしれえ!最後は俺だな」
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