第2話 HSP(Highly Sensitive Person)を知った日 Part2
診察は5分ほどで機械的に終わった。自己申告だけで、2種類の睡眠薬と1種類の抗不安薬が処方されるという不思議。いや、まぁ仕方がないことなのだけれど。風邪やインフルエンザのように熱があるわけではないし、骨折や捻挫のようにレントゲン撮影で故障の有無がわかるわけでもない。
でも、やはりどうにも不思議な感じがする。5分程度、この数ヶ月にわたる不眠(私は専門家ではないので「不眠と思われる」と表現した方が適切かもしれないが)の症状をかいつまんで説明しただけで、薬が処方された。
そう、その目的のために来たのだ。眠れない。だから、眠るための薬をもらう。けれど、それは医者の処方箋がなければ手に入らない。そのくらいの知識はあった。だから、病院を訪れた。そして、目的は達せられた。しかも、思ったよりも”効率的”に。診察待ちの時間を除けば、わずか5分ばかりで目的を達することができたわけだ。けれど、なんでだろうか、どこか物足りなさを感じていた。
(もっと話を聞いてもらいたかった?)
なんだろう、それは少し違う気がする。それよりもなんというか、この眠れないというこの根本的な何かが、解消されていないように感じた。処方箋を手渡して、薬局で手に入れたこの薬は、それを飲んでさえいれば深い眠りに誘ってくれるかもしれない。けれど、そもそも、そんな薬を飲まなければならなくなった根本的な何かには作用しないように感じられた。
どうしても、病院の待合室でちらっと目にしたHSPという字面が頭から離れなかった。あのまだ得体の知れない何かを深く理解することに、今の自分自身の置かれた状況を変える何かがあるような気がしてならなかった。
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