第67話 クラウスとの再会 2

「待たせたな、マーシャ」


「っ!」


 聞き覚えのある声が後ろからかけられる。


 マーシャは嬉しそうな顔で振り返る。


「お爺さまっ!」


「会うのは三ヶ月ぶりぐらいか? たまにはロッティに帰ってきてくれんと寂しいじゃろうが。レヴィアースに会いに行くと言ったきり、連絡もまともに寄越さなかったじゃろう?」


 そこに立っていたのはレヴィにとって懐かしい姿だった。


 クラウス・リーゼロック。


 七十を過ぎていても活力に満ちたその姿は、老人を年齢以上に若く見せている。


 真っ白に染まっている髪はしっかりと年齢を感じさせるが、水色の瞳はまだまだ力強い。


「ごめん。ちょっと面倒な監視がついていて、お爺さまに連絡を取ると、巻き込みそうだと思ったんだ」


「大いに巻き込んでくれてもいいものを。うちのPMCは腕利き揃いじゃぞ。マーシャも知っておるじゃろう?」


「知ってる。でも現時点でエミリオン連合軍と正面からぶつかるのはよくないと思ったんだ」


「まあ、それは遠慮したいところじゃな。しかしマーシャの為なら構わん」


「ありがとう。でもまあ、レヴィの周りが騒がしくなるのも良くないと思ったし。それに私達だけでも十分だったんだ」


「確かにシルバーブラストとマーシャ、そしてシオンがいれば十分じゃろうなぁ。加えてレヴィアースとスターウィンドまで加われば無敵じゃろう? 艦隊の一つや二つぐらい平気で潰しそうじゃな」


「うん。潰した」


 実に恐ろしい会話だった。


 しかも事実なのが尚更恐ろしい。


「人の横で恐ろしい会話をしないで欲しいんだけどな、クラウスさん」


「おお、久しぶりじゃな、レヴィアース」


「今はレヴィと呼んでくれるとありがたい。その名前は色々と不味い」


「うむ。ではレヴィと呼んでおこうか。新しい戸籍は用意しておくから安心せい」


「……お世話になります」


 レヴィアース・マルグレイトは死人だ。


 少なくとも、書類上は死んでいる。


 しかし当人は生きている。


 死んだことにしておく為には、レヴィアース・マルグレイトの戸籍は使えない。


 新しい戸籍を用意する必要があった。


 仮の戸籍は『レヴィン・テスタール』。


 レヴィ自身が裏の伝手を頼って用意したものであり、少し調べられれば偽造だと分かる儚いものだった。


 それをシャンティが少し手を加えて少しぐらいではバレないように強化して、今に至っている。


 本格的な調査が入っても問題の無い戸籍を用意するには、それなりの大金と後ろ盾が必要だ。


 後ろ盾が必要となる最大の理由はもちろん、何かあった時にその立場を保証してくれるからだ。


 たとえ偽物の戸籍であっても、保証してくれる人間が肯定すれば、それが事実としてまかり通る。


 そしてクラウスはそうやってマーシャとトリスの戸籍を用意したのだ。


 マティルダとトリスという子供達は表向き存在しないことになっているが、マーシャ・インヴェルクとトリス・インヴェルクという亜人は存在する。


 それをクラウス・リーゼロックが保証する。


 それだけで十分なのだ。


 同じものをレヴィにも用意してくれるという。


 ありがたい話だった。


「出来れば三人分頼みたいんだけど、いいかな? 俺にとっては彼らも大切な家族なんだ」


「分かっておる。オッド・スフィーラとシャンティ・アルビレオについてもマーシャから聞いておるからな。誰が見ても文句の付けようのない、エミリオン連合の情報部が監査に入っても口出し出来ない完璧なものを用意してやるから安心せい」


「頼もしいなぁ」


「マーシャの頼みじゃからなぁ。全力で叶えるのが爺心ジジゴコロという奴じゃろう」


「確かに」


「生きておったと聞いた時はやはりと思ったがな」


「ちょっとは疑おうぜ」


「簡単に死ぬようなタマではなかろう」


「それはまあそうだけど。でもほとんど偶然に近い生き残り方だったぞ。死んでいてもおかしくはなかった」


「運も実力の内じゃ。あるいは日頃の行いの成果かのう」


「特に善行は積んでいないんだけどなぁ」


「マーシャとトリスを助けたじゃろう? 十分な善行じゃと思うぞ」


「ああ、なるほど。もふもふ救世主なら確かに善行だな♪」


「……その通りなのじゃが、何か言い回しがおかしくないか?」


「?」


 どこがおかしいのかさっぱり分からないレヴィだった。


「お爺さま。レヴィのことはあまり気にしない方がいい。ちょっと見ない間に病気が加速してしまったんだ」


「そうなのか? 至って元気そうに見えるが」


「元気すぎるのが問題なんだ。もふもふに関して見境がなくなりかけている」


「ああ、なるほど。確かにマーシャのもふもふは気持ちいいからな。狂うのも分かる」


「納得しないで欲しい」


「といっても、PMCの連中もマーシャのもふもふファンが多いじゃろう? 諦めが肝心じゃぞ」


「………………」



 そんなことを諦めたくはないのだが、現実は認めなければならない。


 実に複雑な心境になってしまうのだった。


「エミリオン連合とやり合った後の後始末はどうなっている? 必要なら儂の方でもいろいろと引き受けるぞ」


 勝利したとは言え、エミリオン連合軍と戦ってただで済む訳がない。


 後始末の方が大変だったりするのだ。


 クラウスはそのあたりのことを心配しているが、マーシャの方は笑顔で首を振った。


「大丈夫。シャンティとシオンが完璧に後始末をしてくれたからな。元々、あれはグレアス・ファルコンの独断だったんだ。情報漏洩を危惧して、他には知らせていなかったのが良かった。原因不明の艦隊壊滅だが、そこから追跡調査が出来ないという状況になっている。痕跡は完璧に消したから、私達まで辿り着かれる心配は無い筈だ」


「それは良かった。いざという時はリーゼロックの名前を使って構わんからな。無茶は禁物じゃぞ」


「うん。ありがとう、お爺さま」


「構わん構わん。久々に会えたんじゃから今日は一緒に過ごしたいものじゃ……と言いたいところじゃが、少し頼みがあるんじゃよ」


「頼み?」


「うむ。聞いてくれるか?」


「内容にもよるけど。でもお爺さまの頼みなら大抵のことは聞き入れるつもりだぞ」


「それはありがたい」


「どんな頼み?」


「人に会って貰いたいんじゃよ」


「誰に?」


「ユイ・ハーヴェイという科学者じゃな」


「もしかして、資金援助の話?」


「そういうことじゃ」


「どうしてお爺さまが直接行わないんだ?」


 クラウスに持ちかけられた資金援助の話ならば、彼が直接受ければいい。


 見込みのない相手ならば断ればいい。


 ここでマーシャに回してくる理由が分からない。


「求められる金額の桁が違うんじゃ。儂はそんなリスクは冒せん」


「桁が違うって、どれぐらい?」


「ざっと聞いただけで兆は超える」


「……それは私でも躊躇する」


 本当に桁が違う。


 国家予算に匹敵する資金援助を個人に求める方がどうかしている。


「それほどの規模ならば、国が援助するのが普通じゃないのかな?」


「儂もそう思うが、それは断られたらしい」


「つまり、見込みがない?」


「端から見るとそう思えるんじゃろうな。儂も、成功するかは五分五分じゃと思っておるし」


「どうして私に?」


 マーシャがその気になれば用意出来る金額ではある。


 しかしその話をマーシャに持ってくる理由が分からなかった。


「見込みは薄くても、マーシャが興味を持つと思ったからな」


「ということは、宇宙船関連の技術?」


「そういうことじゃ。しかも跳躍技術じゃ」


「っ!!」


 宇宙空間における跳躍技術。


 それはどこの国も喉から手が出るほど欲しいものだった。


 簡単に言えばワープ航法だ。


 しかし実現出来た国も企業もまだ存在しない。


 マーシャのシルバーブラストも最新鋭ではあるが、跳躍機能は備わっていない。


「ちょっと待って欲しい。そんな技術なら、それこそ他が放っておかないんじゃないか? どうして個人投資家に話が来るんだ?」


「見込みがないと思われておるからじゃろう」


「お爺さまは違うと思っている?」


「儂は専門じゃから詳しいことは分からん。しかし面白いとは思う。宇宙船関連はマーシャが専門じゃろう? 話を聞いてみるだけでもいい刺激になると思うんじゃが、どうかな?」


「つまり、援助するかどうかは私が決めていいということ?」


「もちろんじゃ。見込みがあると判断すれば援助すればいいし、無いと判断すれば断ればいい。それはマーシャの自由じゃ」


「そういうことなら会ってみてもいいかな。話は聞いてみたい。跳躍技術については博士とも話し合ってみたけど、まだいい案が浮かばないしな。発想のとっかかりになるだけでもありがたい」


「マーシャならそう言うと思った」


「うん。ありがとう、お爺さま」


「どういたしまして。彼は最上階の部屋に待たせておるから、後で会いに行くといい」


「このホテルの最上階?」


「うむ。話の内容が機密だらけじゃから、セキュリティのしっかりした場所がいいと思ってな。このホテルの最上階なら覗き見防止はしっかりしておるぞ」


 エミリオンのホテルについては詳しくないマーシャだが、クラウスが言うのなら信用出来る。


 このホテルは要人達の話し合いや取引にも用いられることが多いらしいので、機密保持に重点を置いて造られている。


 外から覗き見される心配は無いということだろう。


「お爺さま。最上階の部屋って、まだ空きはあるかな?」


「どうじゃろうなぁ。泊まるつもりか?」


「相手との話し合いが長引くなら、泊まっていこうと思って」


「なるほど。フロントに訊いてみるといい。すぐに確認出来る筈じゃ」


「分かった」


 マーシャはすぐにフロントへと向かった。


 その後ろ姿を見送る二人。


「マーシャが泊まっていくなら儂ももう少しゆっくりしていってもいいかのう」


「ありがとう」


「ん? いきなりなんじゃ?」


「マーシャをあそこまで育ててくれて、ありがとう」


 今のマーシャがあるのはクラウスのお陰だということは分かっている。


 だからこそレヴィは感謝したかった。


 クラウスがマーシャを育ててくれたからこそ、レヴィは彼女と再会出来た。


 そのことがとても嬉しかったのだ。


 だからこそ、心からの感謝を届けたい。


「それを言うならマーシャ達を儂に出会わせてくれたことに感謝したいところじゃぞ」


「なら、お互い様かな」


「うむ。トリスのことは残念じゃったが、あの子の意志は尊重するべきじゃと思ったからな」


「やはりトリスは復讐を望んでいるのかな?」


「うむ。生きていることは間違いないようじゃが、どこにいるかは分からん」


「どうして生きていることが分かるんだ?」


「儂が持たせたカードの利用が未だに行われておるからな。あれを利用するには個体情報の照合が必要になる。つまり、あのカードが利用されている以上、トリスが生きていることは間違いないのじゃ」


 他人の不正利用を防ぐ為に、あのカードには個体情報の照合というセキュリティロックがかかっている。


 トリスが未だにそのカードを利用しているのは、必要以上の犠牲を出したくないという気持ちからではなく、クラウスに自分が生きていることを知らせる為なのかもしれない。


 復讐に取り憑かれていても、そういう部分は変わらない。


 どこまでも優しい少年なのだ。


「それはいい知らせだな。いつかは会いたいと思っているし」


「あの子は自身に課した誓いを果たすまでは帰らない。帰ることが出来ない。それが分かっているからこそ、儂も止められなかった」


「マーシャも同じ気持ちだったんだろうな。辛そうにしていたし」


「ついて行こうかどうか、悩んだらしい」


「マーシャらしいな」


「しかしトリスがそれを望まない以上、自分が足かせになってしまうと考えたんじゃろうな。結局は諦めた。そしてマーシャは自分自身の願いの為に邁進してきた」


「それが投資家であり、研究者であり、開発者であり、操縦者か……」


「うむ。呆れるぐらいに多才じゃろ?」


「呆れるで済ませていい問題か?」


「亜人の死体を研究しようとする奴の気持ちが分かるというものじゃな。皆がマーシャのような可能性を秘めているのだとしたら、とんでもない利益を生み出すことになる」


「リーゼロックもその恩恵を受けたってことか?」


「まあな。あの子の意志じゃから、ありがたく受け取っておいたぞ」


「それでいいと思う。それが彼女なりの恩返しのつもりだろうし」


「うむ。儂としてはマーシャが幸せに暮らしてくれればそれで十分なんじゃがな。それでもあの子のお陰で宇宙船開発部門は大きな利益を得た」


「良かったんじゃないか? その集大成がシルバーブラストなんだろう?」


「スターウィンドも同様じゃな」


「だろうなぁ」


「ちなみにシルバーブラストの技術はほとんどこっちに知らされていない」


「マジで?」


「うむ。あれはマーシャとそのブレインが知恵と遊び心と悪ふざけの限界にまで挑戦した最高傑作じゃからな」


「それを聞くと恐ろしい気するなぁ」


「そもそも、シルバーブラストのシステムのほとんどは、シオンがいなければ使えないからな。シオン自身も有機アンドロイドとしてはほとんどブラックボックス状態じゃからなぁ。こっちに流れてくるのはその一部じゃよ」


「恐ろしいなぁ」


「うむ。面白い」


「面白いって……」


「どこまでやらかしてくれるか、実に楽しみじゃ」


「物騒な楽しみ方だなぁ」


「歳を取ると刺激が少なくてなぁ。こういうことが楽しくてたまらなくなるのじゃ」


「………………」


 物騒な趣味だった。


 しかし気持ちは分かる気がする。


 レヴィ自身も、マーシャが何をどこまでやらかしてくれるのか、楽しみになってきているのだ。


 一緒に旅をしようと思ったのもそれが原因だ。


 マーシャと一緒に居たいという気持ちもあったが、それと同じぐらい、彼女が何をやらかしてくれるのかを見てみたいという気持ちがあるのだ。


「レヴィ」


「何?」


「マーシャのことを頼んだぞ」


「俺に出来る範囲でなら引き受る」


「うむ。それでよい」


 出来ることは出来る。


 出来ないことは出来ない。


 だから出来る範囲で引き受ける。


 それがレヴィの答えだった。


 人一人の人生など、そう簡単には引き受けられない。


 マーシャの事を頼むということは、彼女の気持ちも知った上での言葉だろう。


 任せて欲しいとは言えなかった。


 マーシャはレヴィを慕っている。


 しかしレヴィは決定的なところでマーシャを受け入れられずにいるのだから。


 そんなレヴィの後ろめたさも見抜いた上で、クラウスは目を細める。


「無理はせんでいい。大切なものを二度と失いたくないと思う気持ちは誰にでもある。簡単には吹っ切れないということも分かっているつもりじゃ」


「悪いな。自分でも情けないとは思うんだけど」


「そうでもない。マーシャと一緒に旅をすると決めた時点で、ある程度は受け入れているんじゃろう? マーシャが幸せなら、儂はそれでいい」


「そりゃあ、あそこまで一途に追いかけられたら、否とは言いづらいからな」


「しかも美人じゃし?」


「そこも重要だな」


 美女に追いかけられる。


 それは男にとって至福の一つだ。


 レヴィにとってもマーシャに追いかけられたのは悪い気分ではなかったのだ。


「それはそれとして、せっかくの腕を錆付かせるのも勿体ないじゃろう? よかったら儂のところで戦技教官をやるつもりはないか? PMCの方で大歓迎したいんじゃが」


「お世話になっているから引き受けるといいたいところだけど、マーシャの方が先約なんだよなぁ。彼女を説得してくれたら、考えるってことで」


「むう。マーシャの説得など、儂には無理じゃ」


「やっぱり?」


「機嫌を損ねたら必殺技を出されるからな」


「必殺技?」


「『お爺さまなんか大嫌いだ』」


「………………」


「駄目じゃ駄目じゃ。それを言われたらしばらく立ち直れん」


「………………」


 徹底的に甘い駄目お爺さまになっているようだった。


 しかしそれぐらいマーシャを可愛がってくれていることは嬉しいと思った。


「まあ落ちついたら考えてみてくれ。うちの連中の質も上がるじゃろうしな」


「リーゼロックPMCの面々は十分に質が高いだろうに。少なくとも評判はいいと聞いているけど?」


「当然じゃ。しかしそこに伝説の操縦者が加われば更に質が向上すると思わんか?」


「別に伝説になった覚えはないんだけどなぁ」


「自覚がないのは本人だけか」


「………………」


 自覚がないというよりは自覚したくないという方が正しい。


 誰が好きこのんで自分を『伝説』だと自覚したいものかと訴えたい。


 一流の操縦者であることは自負しているが、伝説扱いは勘弁して欲しいというのが正直なところだった。


「まあ落ちついてから考えてくれたらよい。それまでは気長に待つことにするからな」


「そうしてくれると助かる。まあ、クラウスさんには恩があるからな。出来る限り恩返しをしたいと考えはいるよ」


「そう考えてくれているのはありがたいな。しかし恩返しは儂にではなくマーシャに還元してくれればよい。あの子を大切にしてくれるなら、儂としてはそれで十分じゃからな」


 そんな会話をしていると、マーシャが戻ってきた。


 嬉しそうな表情を見ると、どうやら部屋は空いていたらしい。


「部屋が空いていたぞ」


「それは良かった」


「二人部屋だから一緒に泊まろう」


「分かった」


「これはレヴィの分の鍵だ」


 マーシャは二枚のカードキーの内の一枚をレヴィに渡す。


 受け取ったレヴィはポケットの中にしまいこんだ。


「後でたっぷりもふもふしてやるからな~」


「………………」


 嬉しそうなレヴィとは対照的に、少しげんなりするマーシャ。


 しかしレヴィと一緒の部屋に泊まれることは嬉しいのだろう。


 少しだけそわそわしている。


「仲良くしているようで何よりじゃな」


「うん。私とレヴィは仲良しだぞ」


「うむ。それでは儂は少し他のところに顔を出してくる。マーシャの方もユイ・ハーヴェイとの交渉は任せたぞ」


「分かった。この後向かうことにする」


 ご馳走もたっぷり食べた後なので、もうこの会場に用はない。


 クラウスとも顔を合わせたので、いつ出て行っても問題無いのだ。


「じゃあちょっと上に行ってくる」


「分かった。俺ももう少し飲んだら部屋に戻るよ」


「うん。でもまだ着替えずにいてくれると嬉しい」


「マーシャ?」


「折角格好良く正装してくれたんだから、後で飲みに行こう。このホテルは最上階にラウンジがあるんだ。そこで飲まないか?」


「分かった。じゃあ着替えずに待ってる」


「うん」


 折角二人共正装をしているのだから、もう少しこの時間を楽しみたい。


 マーシャのそんな乙女心を受け入れたレヴィは、こんなにも喜んでくれるのならば堅苦しい格好を我慢した甲斐があったなと思っている。


 マーシャのドレス姿も似合っているし、実に眼福だと思っていたのだ。


 パーティー会場を出るマーシャを見送り、レヴィはもう少しご馳走をつまむことにした。

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