宇宙の奏でる音 ゴースト

雨世界

1 ランデブー。ゴースト。

 宇宙の奏でる音 ゴースト


 プロローグ


 ランデブー。ゴースト。


 本編


 私たちは(どんな場所にいても)歌を歌い、ダンスを踊る。


 スター・メロディーがその音を聞いたのは、本当にただの偶然だった。

 ……なに? この音? こんな場所で音なんて絶対に聞こえてこないはずなのに、……私の幻聴? それとも、……もしかしてこれって……。


「メロディー。どうかしたの?」

 耳元にある通信機から、そんな聞き慣れたオレンジ・ペコの声が聞こえてくる。

「ううん。なんでもない。報告は、宇宙船の中に帰ってからする」

 メロディーは言う。

「了解」

 ペコは言う。


 それからメロディーは自分の仕事である『宇宙船の外壁の検査と安全の確認』をする。

 メロディーは、今、宇宙にいる。

 

 宇宙空間の中で、一人孤独に、真っ白な(太っちょの)宇宙服に身を包んだままで、同じく真っ白な丸い球体の形をした宇宙船の定期的な検査と安全の確認をしている最中だった。

 それが宇宙飛行士であるスター・メロディーの仕事だった。


 その仕事が終わったところで、宇宙船の中に帰る前に、メロディーは、透明なガラスの中で、小さな声で歌を歌った。

 それは、愛の歌、だった。(メロディーの故郷で流行っていた昔、昔のラブソングだ)

 メロディーの視界の先には、真っ暗な宇宙の中で光を放っている一つの綺麗な星がある。

 でも、その星は『太陽ではない』。


 なぜなら、メロディーは、太陽系の外側にいて、生まれ故郷の生命の星である青色をした地球(最初に宇宙から地球を見たときは、本当に感動した。泣いてしまうかと思った)がある場所よりも、ずっと、ずっと、本当に、ずっと遠い場所にいたからだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る