レモンタルト教団の陰謀

雨世界

1 わたしたちはいつだって、青色の空に憧れる。

 レモンタルト教団の陰謀


 登場人物


 綾瀬素直 小学四年生の男の子


 七瀬長閑 小学四年生の女の子


 プロローグ


 わたしたちはいつだって、青色の空に憧れる。  


 本編


 神様の子


 神様! 神様! 聞いてください、神様!!


 その家はとても『小さな家』だった。


 そこが、大人たちに連れ去られた、綾瀬素直くんの誘拐された家だった。七瀬長閑はコンクリートの壁の角っこのところから、顔を半分くらいだけ外に出して、その小さな(どこにでもあるような普通の)家をじっと見つめていた。


 ……どうしよう? どうしたら良い?


 長閑は考える。

 やっぱり警察の人に連絡したほうがいいだろうか? ……いや、だめだ。警察の人が、あの『奇妙な教団の関係者じゃない』っていう証拠がない限り、たとえ警察の制服を着ていたとしても、その人を正義の人だと信じることはできない。

 

 ……では、どうする?


 長閑は考える。


 やっぱり、私がいくしかない。

 私が、素直くんを、あの小さな家の中から救い出すしかないんだ。そうですよね、神様。

 長閑は青色の空を見て、そんなことを頭の中で神様に言った。(神様はいつだって、長閑と一緒にいてくれるのだ)


「さて、じゃあ、どうしようかな?」

 長閑は小さな家をじっと、観察する。(物事をじっと観察することはとても大切なことなのだ)

 それから少しして、長閑は小さな家の周りを慎重に動き回り、(電信柱の陰に隠れたりして)そして小さな家の上側の壁のところまでやってきた。

 すると、その白い壁には、なぜか、『とても小さな、まるで子供用の扉』のようなものが取り付けられていた。

 あれはなんだろう? 長閑は思う。

 もしかしてあれが『入り口』なのかな? 長閑は周囲に人がいないことを確認してから、静かにその小さな扉に近づいた。

 そして、その扉を押してみる。

 すると、その小さな扉には鍵がかかっていないようで、内側に押すようにして、開いていった。

 ……開いた。

 ……長閑は思う。

 七瀬長閑は、そのまま、その鍵のかかっていない、小さな子供用のような扉を抜けて、綾瀬素直くんが誘拐され、とらわれている、小さな家の中にたった一人で侵入していった。

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