深層解鳴

融音彩度/you onside

晴れやかな桃色が厚塗りの深緑に変わる頃

君の声を覚えた

駆ける間もなく燃え尽きた日向を見送りながら

君の癖を真似た

誰しもの呼吸が見える季節を待っていたら

君の歩幅すら愛しくなった

届かない

そういう距離感は苦しくも容易い等値

分からない

やがて心ごと切り取られてしまうから

どうしても

簡単な言葉すら欠如してしまう

僕を真ん中に捉えてほしいのに

どうしても

あらゆる血液は記憶を創るから

二人きりの朱色は僕だけの秘密

君だけが僕だけを

繋いでほしいけれど

僕だけが君だけを

繋ぐほどの孤独は怖くなる

不誠実な回答を遺すくらいなら

水平を灯す約束の秒数で

貴方の呼吸と共に融けたい

誰にも見えていないだけで

誰も見ようとしていないだけで

僕達の背後にも極彩色がある

いつの間にか

灰色の世界に囚われてしまって

頭の中にはお喋りな隣人がいるのかな

抽象を繰り返しては

記憶の中で見失った花を探している

どうしても

簡単な言葉すら欠如してしまうのなら

君の真ん中に僕はいたいから

どうしても

あらゆる血液は君を創り出すから

二人きりの朱色が体内に巡り来る

君だけが僕だけを

繋いでほしいから

僕だけが君だけを

繋ぐほどの決意をどうか赦して

不明瞭な解法を遺すくらいなら

調律の花弁が舞う重力の中で

永遠に似た一秒を咲いたい

君に果たしたい

僕を尽くしたい

季節の数ほど融けられたなら

命の数ほど費やせたなら

願いとは、あるいは祈りとは

明けぬ悲劇すら容易く癒やしてしまう

朱く、碧く、遠く、深く

僕達は限りなく二人だ。

融音彩度/you onside.