第245話尼子開戦前

 大内義隆や大内家家臣団とは、勅命を下してもらい、メンツを立てた上で以下の条件を整えた。


1:周防・長門は大内家の所領とする

2:安芸毛利家は大内家の支配下とする

3:毛利領以外の安芸国は種子島家の支配下とする

4:尼子領(出雲・石見)は種子島家が攻めとり大内家に譲渡する

5:吉川家支配下の石見領は種子島家の支配下とする

6:石見銀山は種子島家の支配下とする


 ただ最後の石見銀山の領有問題はもめにもめた!


 石見銀山に関しては、第8代目大内家当主・大内弘幸が発見したと言う伝説があり、少なくとも第30代目大内家当主・大内義興が博多の商人・神谷寿貞の献策を取り入れて開発したのは確かなのだ。だからこそ、武家の面目と軍資金の両面から領有に関しては強硬に抵抗してきた。


 だが幸いだったのは、月山富田城での惨敗によって、今現在石見銀山を支配下に置いているのは尼子家であった事だ。しかも尼子家の追撃によって受けた大内家と与力国衆の損害は、回復するのに数年かかるほどの大損害であった。


 だから種子島家が実力で尼子家から奪い取った場合は、大内家も合戦を覚悟しなかれば奪い返すことは難しいので、実質数年は手出しする事は不可能だった。いや、そもそも俺の実力を知っている大内家主従は、メンツを立てる為には負けると分かっている合戦を仕掛けるしかないのだ。


 だが俺としても今後の天下平定戦を考えれば、大内家に恨まれるのは嫌だった。そこで御上に勅命を出して下さいと御願いして。天下に流通させる皇朝銭の鋳造に石見銀山は必要不可欠だから、種子島家の領有とすると勅命を出して頂いた。


 これで何とか大内家主従の面目を立てて、石見銀山の領有を種子島家の物と言う事には出来たが、今はまだ尼子家の本城常光が山吹城城代として護っているので、これを破り奪わなければ話にならない。ここで大きいのは、本城常光が毛利元就の謀略で滅ぼされ、城地を奪われた高橋家の出身と言う事だ。ここは正面突破より、調略によって味方に加える方が楽かもしれない。




「高橋家」

 戦国時代における高橋家の所領は、石見国邑智郡の阿須那・出羽と安芸国の北半分・山県郡の東部にまで及び、「三歳子牛の毛数ほど人数持ちたり」と称されるほど強大なものだった。しかし毛利元就の謀略によって滅ぼされ、所領を奪われてしまっている。


高橋興光:毛利興元に叔母(伯母)が嫁ぐが、毛利元就の謀略で殺される

本城常光:山吹城城代・高橋興光の弟


刺賀長信:刺賀城城主・小笠原長徳の弟・湯惟宗の義兄

湯惟宗 :刺賀長信の義弟

小笠原長徳:川本温湯城主・石見銀山を尼子家と共同領有

小笠原長雄:小笠原長徳の嫡男

石見銀山城砦群:山吹城・石見城・矢筈城・矢滝城

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