第44話婚姻政策
1536年10月『周防国・大内氏館・築山館』種子島左近衛将監時堯・8歳
俺が空を飛べることは噂にはなっていたが、後奈良天皇の勅使として一条家当主・正二位・右近衛大将・一条房通卿が周防国・山口にある大内家の居館に下向され、俺の実力を大内義隆に伝えて下さった。その上で一条・大内・種子島の同盟と国割に着いて話し合いをして下さった。
ある程度事前交渉がまとまった時点で、大内義隆は俺の実力を直接見たいと言いだしたらしく、一条房通卿の使者を乗せた船が日向国土々呂城にやって来た。巡回飛行でいち早くそれを知った俺は、即座に空を飛んで周防国の大内氏館上空にたどり着き、大声で大内義隆に名乗りを上げて俺の存在と実力を思い知らせてやった。
さらには土塁と城門を飛行したまま突っ込んで破壊してやったから、度肝をぬかれた大内義隆は即座に同盟と国割に応じて来た。
だがここで新たな問題が起きてしまった!
同盟に当たって婚姻による保証を求めて来たのだ!
ちょっと脅かし過ぎたようで、婚姻による保証がなければ安心が出来なくなってしまったようだ。そこで色々と話し合ったのだが、父上様には適当な年齢の妹も娘もいないので、一族の娘を一旦父上の養女として、しかもその上で一条房通卿の養女にまで仕立て上げて、次期大内家当主・大内晴持の正室として嫁がせる事になった。早い話が種子島家から大内家に人質を送ると言う事だ。
次に俺の嫁を誰にするかになったのだが、大内義隆にも歳の合う姉妹も娘もいなかった、種子島家と同じように一族から養女をもらってもよかったのだが、それでは種子島家と一条家とのつながりが弱くなってしまう。
そこで伊予西園寺家との婚姻話が進んでいた一条房家殿の娘を、一旦大内義隆の養女としたうえで俺の正室とする事になった。もう訳が分からないくらい関係がややこしいが、血縁だけで考えれば俺の正室は次期土佐一条家当主の妹で、次期大内家当主の叔母と言う事になる。
「左近衛将監殿、真にめでたいのう!」
「はい、左近衛大将様のお陰を持ちまして、私も妻を持つ事が出来ました」
「なあに、義理とは言え左近衛将監殿とは兄弟ではないか、これからも御上のために共にご奉公しようではないか」
そうなのだ!
今回の婚姻で摂関家当主・一条房通卿の妹を正室に迎えたと言う一面があるのだ!
そしてこの一条房通卿の言葉は、もっと後奈良天皇のために働け、早い話が献金をもっとしろと言う催促でもあるのだ。
「う~む、左近衛大将様、それだけではありますまい! 養子とは言え種子島家の姫は左近衛大将様の娘ではないですか!」
ああ駄目だ!
大嫌いな人間関係の網にからめとられてしまった!
お助け下さい父上様!
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