第23話浦和競馬場グルメ2 カレーライス 浦和グルメ2 新仔鰻重
浦和競馬場:パドック
「太郎君、花子ちゃん、今日も元気な馬を小さな声で教えてね」
「いいよぉ~」
「花子もいいよぉ~」
今日も夜明けとともに太郎君と花子ちゃんに起こされた。
馬を助けると決断した以上、お金は稼げるだけ稼ぎたい!
そうなると、一旦競馬場に入ったらゆっくり食事など出来ないだろう。そうかんがえて、開門時間の9時40分までにお腹一杯食べておくことにした。
食べると言っても、帯広空港で買ったケーキやお菓子がまだまだ沢山あるので、取りあえずそれを食べて駅前のパン屋さんい行くことにした。
ホテルから浦和競馬場までの道筋の、前地通りにあるフランス店名だが昭和テイストなパン屋さんい行ってみた。JR浦和駅から行く場合は、浦和競馬へと続く前地通り商店街の中ほど、角地の木造住宅1階にある。
60代だろうお母さんお勧めのシベリヤとアンパンはもちろん、他のパン屋の揚げピロシキとは違う焼きピロシキ。他にも買い食いの愉しみを知った、太郎君と花子ちゃんが眼を輝かせて買い込むあんドーナツに、バターたっぷりのデニッシュ生地で作られたフリアンも買った。他にも蒸黒パンにドック系や総菜パンなど、1食2食では食べ切れない量を買い込んだ。
浦和競馬場:パドック
「黄色いカレー食べたい~」
「花子も黄色いカレー食べたい~」
「昨日ネットで確認したカレーの事かい?」
「それぇ~」
「花子もそれぇ~」
北海道の御菓子も食べ、朝買ったパンもしっかり食べているのに、それでも太郎君と花子ちゃんはカレーを食べたがった。俺と綾香さんがネットを見ながら、昔懐かしい黄色いカレー、玉ねぎの甘みが存分に引き出されたまろやかで、尖ったところのない食べやすいカレーだと話していたのを聞いていたのだろう。
「じゃあ綾香さん、綾香さんはラーメンを食べに行かれますか?」
「いえ、今日は私も黄色いカレーを食べさせて頂きます」
「じゃあ僕もカレーを食べることにします」
俺達はパドックで馬の見極めを済ますと、7号投票所の奥にある食堂に向かった。ネット投票も現金投票もそこでやればいい。
「7号投票所奥の食堂」
おにぎり :150円
モツ煮込み :350円
コロッケ :120円
メンチカツ :120円
フランクフルト:230円
カラアゲ :150円
モツ煮込み定食:550円
アメリカンドック:170円
うどん・そば
かけ :370円
月見 :400円
たぬき :400円
きつね :400円
カレー :450円
野菜天 :480円
いか天 :500円
あじ天 :500円
ミニカレー :400円
半カレー :500円
カレーライス :550円
大盛カレー :650円
おでん各 :110円
「美味しい~」
「花子もこれ好きぃ~」
「懐かしい美味しさですね、綾香さん、40年前に母が作ってくれたカレーを思いだします」
「そうなんですね、ネットに学校給食のカレーのようと書いてありましたが、私にはよく分かりません」
「綾香さんは給食を食べられなかったのですか?」
「私はずっと私学だったので、公立学校の給食は分からないのです」
「そうなんですね、失礼ですが好いとこのお嬢さんだったのですか?」
「え~と、あ~、その~」
「ごめんなさい、余計な事を聞いてしまいましたね」
「いえ、その、まだ実家の事は心の整理がついていなくて」
「いえいえ、根掘り葉掘り聞くのはいけませんね、本当にごめんなさい」
「心の整理がついたら話させていただきます」
「そうですね、その時に聞かせてください」
こんな話しをしながら食べたカレーだが、それでも結構美味しかった。
4人とも並みのカレーライスを頼み、それぞれトッピングに好みのフライや天婦羅を頼んだ。
カレーライス :550円×4=2200円
コロッケ :120円
メンチカツ :120円×2=240円
フランクフルト:230円
カラアゲ :150円
小計:2940円
さすがに御菓子やパンを食べ過ぎたのだろう、太郎君と花子ちゃんはもちろん、綾香さんも1つしかトッピングを頼まなかった。俺だけがカラアゲとフランクフルトの2つをトッピングした。まあ競馬が終わってから行く晩飯を、4人とも愉しみにしているから、カレーは食べたいが食べ過ぎないようにしているとも言える
それにしばらくは競馬の勝ちに集中しなければいけない!
競馬場内で食事に使える時間が極端に少ないのだ、その為に荷物になると分かっていて、朝から大量のパンを買いこんで競馬場に乗り込んだのだ。
ネット投票:1502万8400円
現金投票 :1502万8400円
大勝ちできた!
1投票1000円で買ったことも大きいが、第8競走の3連単で86万円の大穴を取れたことが1番大きかった。税金を計算しても1400万くらいは養老馬の為に使う事が出来る。
馬は40歳まで生きる事もあるが、普通は25歳から30歳の寿命だ。3歳馬を保護したとして、27年間は毎月1頭当たり10万円が必要になる。
10万×12カ月×27年=3270万円
1頭の馬を何の見返りもなく面倒見ようとすれば、3270万円もの大金を準備しなければならないのだ。確かに輓馬なら、安い2番草を餌に使うことも出来るし、蹄鉄をしないと言う方法もある。法で定められた検査と予防接種以外の治療をせず、歯医者にも見せないと言う事も可能かもしれない。だがそんな条件を飲む牧場に預けて、馬をちゃんと見てくれるとは思えない。
条件の悪い牧場や乗馬クラブを探すよりは、太郎君と花子ちゃんに協力してもらって、競馬でお金を稼ぐ方がいいに決まっているのだ。河童の妙薬を使って、実力のある引退馬を復帰させられれば、その子達が稼いでくれる可能性は有るだろう。だが今の俺では馬主になれないのだ
浦和競馬場の全競争が終わってから、ぶらぶらと歩きながら晩飯を予約した店に向かった。正直出来るだけお腹を減らしてから行きたいと思える店なのだ。だからこそ、食欲旺盛な太郎君と花子ちゃんが、カレーを食べた後で何一つ食べたいと言わなかったのだ。
俺達4人が向かったのは、前地通り商店街に店を構えて60年、現店主で三代目となる老舗のうなぎ屋さんだ。
厳選された最上級の国産鰻にこだわり、丁寧に裂き、気になる小骨を店主自ら一本一本骨抜きを使って抜き、より多くの串を打ち、しっかりと鰻を蒸し、備長炭で一枚一枚心を込めて仕上げているそうだ。その下ごしらえと調理法の御蔭で、口に入れるとフワっとトロけるような食感なんだそうだ。
「鰻 むさし乃」
新仔鰻重 :4860円×4=1万9440円
肝吸い :270円×4=1080円
うざく :1050円×4=4200円
アスパラごまあえ:650円×4=2600円
新香盛合わせ :730円×4=2920円
小計:2万7320円
改めて話を聞かせてもらうと、ここのうなぎは宮崎県佐土原の池でトライされ、初めて稚魚から生魚まで育てることに成功した鰻を使用しているとのことでした。
実際食べてみると、タレは辛口で、紀州の備長炭の香りも良く、繊細なブランド鰻らしからぬ力強さでとても旨かった!
肝吸いも職人さんが繊細な出汁取りと味付けをしており、とても美味しくいただけた。
ただ残念と言うか情けないと言うか、お嬢様だろう綾香さんと、座敷童としてしっかり躾けられたであろう太郎君と花子ちゃんに比べて、俺の食事マナーがなっていなかった!
箸1つまともに持てず、美味しい料理に相応しい食事のマナーを出来なかった。それが本当に情けなかった。
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