第70話工作員
「姉さん、何が起こったんですか?」
「Y組がK国の指示を受けて一朗君の世界に侵入するようなの、K国の後ろにはT国の影があると言う情報もあるわ」
「Y組ってK国出身の在留者が支配していると言う、日本一の反社会組織ですよね?」
「そうよ、戦闘訓練を重ねている者も多いし、独自で銃器どころかロケットランチャーや手榴弾すら保有していると言う情報よ」
「司法修習生時代の情報ですか?」
「それもあるけど、今回の件があって新たに調べていたの」
「その流れで入って来た情報ですか?」
「国が意図的に流してくれた情報だと思うわ、情報の内容が細部にまで及んでいるから、Y組に入り込んでる諜報員からの情報の可能性が高いわ」
「国が動いてくれれば簡単だと思うのですが?」
「反日報道テロ組織や与党内の反勢力に足を引っ張られているのだと思うわ、忸怩(じくじ)たる想いがあるけど、民間人が殺されない限り国は動けないと思うわ」
「それは俺が殺されたらと言う話ですか?」
「そんな事はさせないし、国も望んでいないと思うわ、だからこそ情報を流してくれたのよ」
「ではどうする対応すればいいでしょう?」
「そこにカール殿はいる?」
「ええ、この内容は誰にも聞けないようにしていますが、話そうと思えばローゼンミュラー家全員と共用できます」
「そうね、どうせこの会話も専門家が解析するだろうから、諸外国には筒抜けになると思うわ」
「じゃあ今パソコンを使っているローゼンミュラー家全員を招待しますね」
「ええ御願いするわ、先の会話は後で共有するとして、ここからは全員の命がかかっているから、性根(しょうね)を据えて聞いてね」
「「「「はい!」」」」
「私と一朗君の母国には、敵対する国が沢山あって、その国々が母国に多くのスパイを送り込み、国の中枢にまで入り込んでいます」
「ふむ、非常に危うい状態なのだな」
カール殿の判断は正しいだろう、このままじゃ日本は内部からT国やK国にいいようにされてしまう。まあ個人的には敗戦以降A国の属国だと思っているが、それは仕方のない事だろう。
「まあ私と一朗君の母国の事は直ぐにどうこう出来る問題じゃないから置いておくとして、大切なことはカール殿の世界を侵略しようとT国とK国が手を組んだと言う事なの」
「ふん! 誰であろうと我が領地に入ったら問答無用で殺すだけじゃ、例えそれがタツコ殿とイチロウ殿の世界の人間であろうとだ!」
「私が頼みたいのはその事なの、一朗君が彼らを死傷させたら罪になる可能性があるの、だからローゼンミュラー家の皆さんで侵入者を皆殺しにして欲しいの」
アチャ~、姉さん切れたよ!
いや切れたんじゃないな、冷静に判断してローゼンミュラー家に侵入者を皆殺しにさせるべきと判断したのだろう。その判断が姉さん個人のものなのか、それとも国からの指示があっての事なのか、それは全く分からないけど、とにかく今は俺を生き延びさせる心算なのだな。
「分かった、それで侵入者は何時ものようにローゼンミュラー館の前に飛んでくるのだな?」
「ええ、そこが1番可能性が高いけど、最初にドローンが飛んできた場所の可能性もあるわ」
「分かった、イチロウ殿、今の戦況を見るとコボルトの戦いは完勝できそうだ、従士隊の半数を異界人討伐に向かわせるが構わんか?」
「それで御願します、ただ詳しい状況を知っておきたいので、異界人討伐隊上空にドローンを常駐させて撮影しておきたいのです」
「分かった、従士隊の指揮官にはドローンの監視がつくと伝えよう」
さてこの後はどうなる、ロケットランチャーや自動小銃で武装したY組の戦闘部隊を相手に、ローゼンミュラー家従士隊で対抗できるのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます