第33話3度目の売買

 アーデルハイトたちは、盗賊団の襲撃を撃退したものの、再度の襲撃に備える為にダンジョン都市へ交易に行く人選を変えることにした。本来なら、4姉妹と領民従士20兵・専業従士10兵で行く予定であった。だが今回は、交易都市にはアーデルハイトとバルバラが、俺の護衛につくはずの専業従士50兵を率いて行くことになった。一方領地を護るためにべアトリクス・ブリギッタ・ビアンカが残り、領民従士20兵・専業従士10兵・俺の護衛専業従士10兵を指揮する。


 俺としては、非常時とは言え護衛が減るのは心配だ。何より心配だったのは、ローゼンミュラー領を出た平野部で、その領地の支配者が襲いかかってくる事だった。バルバラに話を聞くと、ローゼンミュラー領の出口を支配する騎士は、その時その時に優勢な貴族の味方に付く、典型的な在地騎士のようで、単独で集められる兵力も領民従士30兵が限界のようだ。


 だから有力貴族が直属軍を駐屯させていない限り、専業従士50兵に攻撃して来る事はないそうだ。それに有力貴族の直属軍がいた場合は、交易を諦めて戻ってくるそうだ。アーデルハイトだけなら罠に嵌められる可能性があるが、バルバラが補佐しているなら大丈夫だろう。




 だが結果として今回も良好な販売ができた上に、バッハ聖教皇家の元家臣だが没落して、傭兵や冒険者をしている者が200兵も仕官を望んできた。なかには元騎士や準男爵の家柄の者もおり、いずれは家名再興を望んでいるようだが、有力貴族家から誘いがないようでは実力不足なのだろう。


 以下の商品が高価な値段で売れたのだが、1度に大量の高級品を売りに出した事で、ハナセダンジョン都市で貨幣が不足すると言う問題が起きてしまった。


黒胡椒300kg:金300kg=金貨9万9999枚と銀貨6枚

上白糖100kg:銀100kg=銀貨3万3333枚と銅貨6枚

干椎茸100kg:銀100kg=銀貨3万3333枚と銅貨6枚

濃紫絹100kg:金300kg=金貨9万9999枚と銀貨6枚


 そこでほとんど流通していない、超貴重品の魔道具を代価として要求し、通貨不足に対応することになった。今回要求したのは、羊皮紙に魔術の術式を書き込み、呪文を唱えることで魔法を発動させることのできる巻物だった。それともっと手に入れるのは難しいが、魔晶石を埋め込んで複数回魔法を発動させる事のできる魔道具、指輪や首飾りも要求してみた。


睡魔陣巻物   :金貨  250枚×50巻=1万2500枚

防御力低下陣巻物:金貨 1250万×50巻=6万2500枚

防御力上昇指輪 :金貨 5000枚×3個 =1万5000枚

即死陣の首飾り :金貨 7500枚×4個 =3万0000枚

麻痺陣の首飾り :金貨10000枚×4個 =4万0000枚

計                    16万0000枚


 さらに騎士位を購入するために、バッハ聖教皇家に金貨100枚を献金した上で、毎年金貨10枚を献上する約束をした。御蔭で俺は騎士に叙勲されたが、実際には寸土も支配していない。もちろんローゼンミュラー家も、金貨200枚を献上した上で、毎年金貨20枚を献上する約束をして、準男爵に陞爵(しょうしゃく)された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る