第134話 生きるは死・死は生きる

吉沢先生は、死の恐怖から解放された。


「あぁ…私は霊子がいいんだ…世界で1番美しい、私の霊子」


霊子は、先生に抱きついた。


「嬉しい…先生、私見せたい物があるの…一緒に来てくれる?」


吉沢先生は微笑んだ。


霊子の手に引かれ、階段を登り、3階まで来た。


そして、開かずの間の前まで連れて来られた。


「ここは開かずの間じゃないか?こんな所に何のようだ?」


「先生、ちょっと待ってて」


霊子はそう言い残し、近くの教室から、台のついたカメラを持っきた。


霊子は、少し離れた所にカメラを設置し、開かずの間の前に立った。


「霊子?…これが見せたい物か?」


霊子は無言のまま。


開かずの間の扉が、独りでに開く。


そこにあったのは、吉沢先生の持っていた写真のように並べられた、クラスメートの死体。


そこには目がない者、首が取れ、足元に置かれた者、片腕がない者、体が2つに切り裂かれた者、様々あった。


吉沢先生は腰を抜かし、尻餅をついた。


「な…何だこれは?」


霊子は不思議そうに答えた。


「何って、先生の生徒達だよ?」


叫びをあげ走り去る吉沢先生。


「う…うわぁぁぁぁぁ!」


霊子は、カメラのシャッターを押し、みんなの前に持って行く。


パシャ。


1枚の写真が出て来た。


霊子は写真を手に取り、追いかけた。


吉沢先生は、必死に逃げた。


校内から出て、森の中に走って行った。


走れど走れど周りは、血を流す木だけ。


1時間程走っても、景色は変わらない。


引き返すと、5分程で学校が見えた。


「何で?私は1時間は走ったぞ、どうして5分ぐらいで着くんだ?」


辺りを見回し、霊子がいないのを確認して、学校に入った。


職員室に行き、電話をかけるが誰も出ない。


吉沢先生が霊子の言葉を思い出した。


ここはあの世だよ。


「そんな馬鹿な事あるか…他の先生を探そう…いや待てよ…俺、この数ヶ月、先生は愚か自分のクラス以外生徒を見てないぞ!誰か…誰か居ないのか?」


吉沢先生は再び走り、理科室の隠し部屋に向かった。


すると霊子が居た。


即座に逃げようとすると、隠し扉の前で腕を掴まれた。


霊子は不敵な笑みを浮かべた。


「先生…私を1人にするなんて酷いよ、また、私を裏切るの?」


「また?何の事だ!私は裏切った事は1度も無い」


霊子は口を大きく開き言った。


「あるでしょう?300年前に私を…裏切った。」


「300年前?」


300年前、霊子に関わった者が死ぬ、いわば呪いような物があった。

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