第34話 1人目

集まった人達全員の顔を次から次に見渡すも、皆、眉を寄せ煮詰まっている。


考えがまとまった人は、いなかった。


何とか自分で場所を考えたが、瑠璃は場所よりあの写真を見せる事を考えていた。


里奈も丁度同じ事を考えていて、瑠璃に目線を向けると、瑠璃は里奈の考えている事はわかっていた。


いきなり言葉だけでは、幾ら信頼を重ねた者でも、信じる事は難しい。


出来れば現物を手に入れ、見せれば話も早く済む、何より吉沢先生に見つかれば終わりを意味する。


何とか、職員室に忍び込む必要がある。


最悪、場所など何処でもいい。


必要な事はばれずに、悟られず、みんなに見せる事が重要だ。


そんな事を考えている内に、15分も経っていた。


霊子が手を上げ、答えずらそうにしている。


「いい場所あった?」里奈は問いかける。


「あの、その、音楽室は駄目なんでしょうか?」


瑠璃は悩みながら答える。


「うーん、まぁ、時間もないし音楽室にしよう。」


「じゃあ、音楽室に移動しようぜ!」


待ちくたびれていた正木は、1番最初に鞄を持った。


「場所も決まったし、さっさと行こうぜ、内容が気になって気になって!」


全員が音楽室まで歩き向かった。


着くと、真っ先に正木が入った。


続いて、友希、瑠璃、京子、波、霊子、里奈の順番で入って行く。


最後に入った里奈は、戸を閉める前に廊下を右左と見渡し、誰もいない事を確認し、戸を閉めた。


何故そんな座りになったのか、気まぐれかは分からないが、円を描くように座った。


里奈が見てきた、悍ましい光景を話す。


「実は昼休みに、瑠璃と吉沢先生に聞きたい事があって職員室に行ったんだ。」


話に頷き、次の言葉を待つように、里奈に目線を向ける正木。


「おう。それで?」


「最初に変だと思ったのは、机でさぁ!」


話に興味を持ち始めた一同。


「机?」疑問をぶつけ、呟く友希。


「うん。机自体は何個もあるんだけど1つの机以外、何にも荷物がないの!」


「それで?」

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