第16話 1人目


「うん。上手だったよ!」


悲しみさえ、表情に出さない霊子。


それは過去の絶望によって今を忘れた、一時の希望。


全てを取り戻せば、本来の霊子も絶望も戻る。


望みは死か、破壊か?


今はない、仮初めの霊子。


全てを取り戻す事を望む、瑠璃と里奈。


それは、二度と訪れない希望の消失を意味する。


それを感じ取れたのは、京子だけ。


京子は、言い知れぬ不安を覚えた。


普通なら背筋が寒い程度だが、霊子の狂気じみた物はそんなレベルではなかった。


京子は、咄嗟に霊子に怨まれない様に振る舞った。


「次…行こう!」


皆は元気に振る舞うが、京子はぎこちない。


不思議そうにする霊子。



















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