振り返るなと思いながら、 歩いた朝

りっちゃん

第1話 自己肯定

自己肯定感の高め方は、人それぞれだ。

私は、その頃男の子に触れられるのが

肯定されたように感じていた。


私でもいいんだ、と。間違っている訳では無い。寂しさの埋め合い。

虚しいと、汚いと言われればそれまでだし、仕方が無いと思う。

けれど上手な愛し方を知らないから、愛され方も知らぬままこの歳になってしまったのだから、どうしていいものかわからなかった。


LINEが鳴る。


「なにしてる?」


「なにも」


「迎えに行くね」


会話だけ聞けば、当たり障りのない恋人だ。

けれど私たちは、違う。

行為を済ませ、睡眠をとり、帰る。

されるがまま、ああ、まだ大丈夫。と思う。

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