第83話 新商品『私』

首から下が痛くて、痛くてーーー


我慢出来ずに目を開けた。さっきまで自分の部屋で寝ていたはずなのに………。


起きたら知らない部屋にいた。


真っ暗で、何も見えない。部屋中に硬いモノが転がっている。助けを呼ぼうとしたけど。



「ぁ………ぁ……」



声が出ないッッ!

震えながら首の辺りを触ると、縦に真っ直ぐ縫ったような痕があった。


「!!!?」


な、なんで?


私がこんな、こんな。



逃げようとした。だけど、少し歩いただけで壁に当たる。ドアがない部屋。


壁の表面は、なんだかツルツルしていて掴む場所がない。


でも………。


この感じ、どこかで触ったことがある。



「っ………」




発泡……スチロール?




この部屋って。





ビリビリビリビリリリィィィィ!!




爆音。


と同時に空が少し明るくなった。でも眩しくて、目を開けていられない。




ジョババババババッッ!!



突然、空から激しい雨が降ってきた。一瞬で全身がびしょ濡れ。それでも止まない雨。私は、溺れまいと柔らかい浮き輪のようなモノに必死に掴まった。



やっと雨が止んだ。止んだら、また空が暗くなった。



トントン、トントン♪♪



壁を叩く音がする。



私は、やっと気づいた。



【 待っている 】



私が、出来上がるのをーーーー



聞いたことがある。お湯がなく、水でも10分ほどでカップ麺は出来ることを。




フフッ。どんな味がするのかな。




新商品【私】

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