【閑話】グリーンの置いてけぼり
俺は若竹隆!
ヒーローグリーンだけど、こないだ悪の組織ダークスカルが壊滅した。
ま、これも奴を倒す布石だと思えばこそだ。
栗生院吉城…吉くんには悪いと思ったけどな。
本当の敵は身近にいるってやつ。
とそこで、スマホが鳴った。
え?蒼太郎かよ…なんだ?出たくねーな…。
今日は早めの大掃除日なんだぞ?嫁を洗ったり、主に嫁を洗ったり。
「もしもし?蒼太郎?何?忙しいんだけど?」
「……貴様の忙しいが我が任務より重要なはずはない!今すぐに来い!いいか!40秒で支度しろ!」
「ラ
「来なければお前の頭上に隕石を降らせてやる!名付けてメテオ…」
「うるせっ!分かったよ!行きゃいいんだろ!」
と電話を切り蒼太郎の家に向かうと馬鹿みたいに昼間からスーツを着ている蒼太郎がいた。
あれ?こいつ今日会社休みだよな?
「よくぞ来たな!隆!」
「何の用だバカ」
俺がうんざりしているとココアちゃんの子供の2匹をペット用キャリーバッグに入れている。
ココアちゃんが子供を産んだのは4匹でそのうちの白いのは確か吉くんにあげたらしい。1匹はこのバカが飼うと言っていたが残りの2匹がバッグに入れられているということは
「おお、ついに残り二人も見つかったのか里親!」
「魔王更生プロジェクトの参加者が見つかったから、これから引き渡しに行く所だ。お前も来い」
「は?何で俺が?つかその為に呼んだの?一人で行けよ!バカ!」
「お前の家に昨日爆弾を仕掛けたと俺に連絡が来てな…解除するには俺に付き合うしか方法が」
「それお前が俺んちに仕掛けたんだろ?お前いい加減にしろよ!?また俺の嫁を燃やす気かっ!!」
仕方なく俺は蒼太郎と里親の元へ向かった。
それはオシャレ過ぎるオープンカフェだった。
なるほど…蒼太郎が一人で行きたがらないわけだ。ちなみにペットオッケーの店だ。
30分後カフェオレとコーヒーを飲みながら待っていると一人の清楚可憐な女性が現れてギョッとした。
「神野さん!お待ちしました?」
「……俺は今瞬間移動で来たばかりだが?」
嘘つけよ!30分前からいただろ!
「はじめまして!あ!グリーンさんですね?いつもテレビで見てます!私、桜庭真白と言います!神野さんと同じ会社の同僚です!」
「は、そうだったんですか!いつもこいつがおかしくてすみません!てかあなたが猫をもらってくれるって言う?」
「はい!そうです!!猫をもらう代わりに神野さんとお付き合いさせていただくことになりました!えへっ!」
とその人はちょっと照れている。
は?え?えええええ??
「おい!蒼太郎!どう言うことだ!!この人とお前付き合ってんの?」
「ふざけるな!俺はこの女に脅されているんだ!魔王より恐ろしい!更生プロジェクトに参加する代わりに俺の全てが知りたいと詰め寄られ仕方なく…」
「あ、役すると、私が神野さんを落としたんです!偶然にも私が階段で落ちそうになっているのを助けられた時にちょっと唇があたってしまいまして…きゃっ」
おいおいおいおい!そこから始まるオフィスラブじゃねえかよ!ベタベタだな!!
「この女…それをネタに俺に脅しをかけ更には翌日から仕掛け弁当を送り続け、更には後をつけて家に押しかけココアや子供の存在がバレ、さらにそのネタで揺すろうとしやがった!悪女だ!」
「やだー?悪女だなんてっ!毎日お弁当ちゃんと食べてくれるし!可愛い猫だから皆んなに自慢したかっただけですよ、ほんとは神野さんが猫好きで優しい人ってことを」
「は!ココアは我がしもべだ!これの存在が世間にバレるのを隠しているだけだ!なんせ魔王の子を匿っているのだ!魔王更生プロジェクト参加者は秘密を守れるものだけと限られているからな!!」
「だからー皆には内緒にしてあげるから付き合ってくださいって言ってるんじゃないですか!猫ちゃんも2匹も飼ってあげるんですよー?それに私の家に来ればいつでも猫ちゃんに会えるでしょー?」
「ぐっ!この悪女め!隆!どう思う?このままこいつに子供を渡していいのか、今ここで消すべきか!」
……いやじゃあ何でお前はここに来たんだよ!
「蒼くーん?君もしかして付き合うのが初めてだからって恥ずかしがっているな?だから俺を連れてきたのか…」
「………ちっ!残念緑が!」
おいー!聞こえてんぞ本音が!
「それで?どうするんですか?神野さん!私と付き合ってもらえるんですか?もらえないなら私ここで帰りますよ?」
とちょっと桜庭さんは膨れた。
つか、俺必要なんかな?この場に?
「そ、それは…おおおおお前は…俺のっ…いや、この世界の巫女であるからしてな!特別なのだ!」
と俯きながら蒼太郎は必死でなんか告白みたいなわけわからんのをした。
さっき悪女とか言ってたのにもう巫女呼ばわりしとるし!
え?俺ここに何でいるの?ほんと。
「神野さん!それって私が特別ってこと?嬉しい!!」
「せっ…世界の巫女の特別だからな!俺のとかでは世界が許さんしそのうちお前を奪いに使徒がやってくるから仕方なく俺がままま守っ…グハッ!」
蒼太郎が言い終わらないうちに桜庭さんが幸せそうに抱きついた。蒼太郎は珍しく動揺し赤くなった。
「くっ!苦しい!離れろ巫女よ!!」
「嫌でーす!」
俺は半目で
「お幸せに…二人とも」
とその場を去った。蒼太郎…孤独でバカなお前にもやっと彼女が!これでも喜んでやらないとな!………つか死ね。
*
それを吉くんに言うと喜んでいた。
「ああ、それじゃもう後、彼女いないのもう若竹さんだけですね…お気の毒です…」
「いやいや待て待て!インドがいるだろ?あいつだってカレーしかないから」
「え?気付かなかったんですかね?あー…戦闘中は外してたこと多かったですけどね?指輪。あの人妻子持ちですよ?」
「は?何それ?知らねーよ?」
と言うと暁雄も出てきて
「あれ?そう言えばさー?いなかったよね?インドの結婚式に隆。いないからどうしてかなー?って思ってたんだけどさ、4年前に」
「よよよよ!4年!?4年前に結婚して子供できてたのあいつ?何で?全然知らなかったけど?」
「隆…嫌われてんのかな…イエローのカレー…飽きたとか言ってたし」
「若竹さん…可哀想…」
暁雄に肩に手を置かれ、吉くんは目尻を押さえて涙している。執事に無言で温かいスープを渡された。
「桃華と昴も知ってたのか?」
「私たちも結婚式行ったよ?ね?昴!」
「うん、桃華のウェディングドレスはあれ以上に綺麗にしようねって言ったもんねー」
とバカップルまで呼ばれていたらしい!!
クソがっ!!何で俺だけ呼ばれんのじゃい!
「私と昴の結婚式は呼んであげるよ!嫌だけど」
「嫌なんかい!!」
「ちょっと縁起のいい日に隆ちゃん呼んだらなんか悪いスタート切りそうだし…」
うんうんと皆してうなづいた。俺が一体何をしたんだ?行くか!お前等の式なんぞ!
ふ…でも大丈夫…俺は3次元の女なんかどうでもいいんだ!嫁がいるからっ!!今度は燃えないよう密かに地下シェルターに収納済みだから!
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