今まで一度も

「先輩、私嘘ついた人生で一度もないんです。」


「確かに、お前が嘘をつく姿はあんまり想像できないな。」


「真面目に生きてれば嘘つかなくても生きていけると思うんですよ。」


「俺には全く理解できないがな。」


「先輩、常に嘘ついてそうですよね。」


「まぁな。死んだあとは地獄で確定だな。」


「何とか天国で先輩の所に蜘蛛の糸を垂らしますね!」


「周りに人がいない時に頼むぞ。」


「芥川龍之介のメッセージに気づかなかったんですか?ところで先輩。」


「あ、なんだ?」


「最近、おじい様が彼氏作れってうるさいんですよ。だから、デートの写真偽装しないといけないので、今週の土曜日付き合ってもらっていいですか?」


「いいけど、それはおじいさんに嘘をつくってことだよな。人生で初めて嘘をつくんだよな。上手くできるのか?」


「はい。どうやら私、才能があるみたいなので!」

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