第53話

気がつくと僕はさっきとはまた別の場所にいた。

手にはテレスのイスに置かれていたサイコロみたいなやつが握られていた。

目の前には大きなマス目がある。

……すごろく

これを見たときにその言葉が頭に浮かんだ。

人がコマになってする人間すごろく?みたいな。

小さい頃に遊んだなぁ。

懐かしい。

これもそんなやつかな?

最初にいるマス?からただ進もうとしても動けない。

やっぱりこのサイコロを使わないと進めないのか。

サイコロを振ってみる。

出た目は‘2’

1、2。

おお、進める。

それから先はまだ進めない。

これで2マス進んだ。

というか1人でやるすごろくってどうなんだろう。

サイコロ振り放題。

コマ進み放題。

ゴーール。

……うん、なんだかひどく悲しくなってきた。

すごろくは1人でやるものじゃない。

じゃあこの今しているすごろくはどうなんだろう?

やっぱり進み放題?

まだサイコロは僕の手の中にあるから振る。

‘5’

5つ進む。

というかこれにゴールなんてあるのかな?

今のところまだ全然終わりは見えない。

それから僕はサイコロを振りまくった。

2、1、5、4、4、3、2、2、5、1、4、3、3、1

ただひたすらに進んだ。

このままどこまでも進んでいくかに思えた。

しかし、それは突然に僕を襲った。

そう。

『一回休み』が。

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