第22話
国王がムーア子爵に少し遅れてやって来て、私達とムーア子爵が話し合っていた内容を全て承認されました。
少し驚きました。
多少は条件闘争をすると思っていたからです。
ムーア子爵には王太子の処刑を言わせておいて、自身は苦渋の表情浮かべて、王太子の助命を頼む芝居をすると思っていたのです。
それが、自分の手で処刑すると言うのです。
実の息子が憎いという事はないでしょう。
国のために苦渋の決断をされたのです。
「じゃあお姉ちゃんと僕に爵位をくれるんだね。
僕は宮中伯だったけど、今度は何をくれるの?
お姉ちゃんが僕より下の爵位だなんてことはないよね?
楽しみだな!」
ルークがニコニコと独り言のように話します。
ルークの事ですから、駆け引きという事ではないでしょう。
本気で私の方が上の爵位であるべきだと思ってくれているのです。
それは嬉しいのですが、問題は国王の考えです。
爵位は簡単に与えられるモノではありません。
継承権があっても、貴族ではない騎士や准男爵ならば比較的に簡単です。
王国の重臣に就任した者を、一代限りの宮中伯に叙勲するのなら、まあ問題も少ないです。
ですが継承権のある男爵以上貴族位となると、既に貴族位を得ている者達から有形無形の妨害が入るのです。
現に国王陛下とムーア子爵が少し困り顔でアイコンタクトを取っています。
想定内の事だったのか、それとも想定外の事だったのか?
「分かった。
ルークは大魔境を領地とする辺境伯に任命しよう。
オリビア嬢には、大魔境を見張る代官が治めていた城伯の城と領地を与え、爵位をルークと同じ辺境伯としよう。
領地は辺境伯というには狭いが、そこは我慢してもらいたい」
驚きです。
ルークを宮中伯に留めておいて、私にも何か役職を与えて宮中伯に任じる程度だと思っていました。
ルークを重視して懐柔するにしても、継承権のある男爵位か子爵位を、宮中伯に加えて与える程度だと思っていたのです。
「疑問や不足がないのなら、早急に領地に赴き魔獣を討伐してもらいたい」
なるほど、そういう事ですか。
ルークの事が怖く目障りなのですね。
まあその気持ちは分かります。
私も弟でなければ恐ろしかったでしょう。
それに魔獣を抑えたいのですね。
大魔境から魔獣が溢れて王国を荒らし回れば、多くの損害が出るでしょう。
そんなことになれば、国内の勢力が一変して、謀叛を企む不忠者が出てくるかもしれません。
隣国の中には、我が国の混乱に付け込んで攻め込んで来るところもあるかもしれません。
「そっか、分かった。
じゃあ大魔境はお姉ちゃんと僕の好きにしていいんだね!
直ぐに行こうよお姉ちゃん!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます