第12話第ルーク視点

 どこにも行きたくなかった。

 ずっとお姉ちゃんの側にいたかった。

 優しい声で話しかけてもらいたかった。

 優しい瞳で見守って欲しかった。

 優しい波動を感じていたかった。


 でも、お姉ちゃんに頼まれたら仕方がなかった。

 一度は断った。

 そうしたら、お姉ちゃんが凄く哀しそうな顔をした。

 お姉ちゃんから強い悲しみの波動やってきた。

 嫌だった。

 お姉ちゃんのそんな姿は見たくなかった。


 だから嫌だったけど、お姉ちゃんの頼みを聞くことにした。

 ネイサンとエリアスなど助けたくなかった。

 二人は大嫌いだった。

 昔二人には虐められた。

 悪口を言われ、殴られ、蹴られた。

 本当に大嫌いだ!


 でもお姉ちゃんは大切にしろと言う。

 だから殺さない。

 悪戯は、時々する。

 二人からは、嫌な波動がする。

 だからまた悪口を言ったり殴ったり蹴ったりする。

 絶対する。


 二人は陰で僕の悪口を言っていた。

 子分に僕の悪口を言えと言っていた。

 子分は僕の悪口を言う。

 だからこっそりと二人も子分も悪戯してやった。

 服の下だけ変えてやった。

 お姉ちゃんに分からないように変えてやった。


 おちんちんを蛇に変えたら泣き喚いていた。

 おもしろかった。

 すっとした!

 それからは、悪口を言われるたびにおちんちんを蛇に変えてやった。

 侍女も同じだ。

 同じところを蛇に変えてやった。


 忘れない。

 絶対忘れない。

 ずっと忘れない。

 僕を虐めた奴を忘れない。

 お姉ちゃんが哀しまなくなったら、殺してやる。


 だから今は助ける。

 いつか殺すために助ける。

 大嫌いだけど助ける。

 でもちょっとだけ悪戯する。

 ちょっとだけならお姉ちゃんも哀しまない。


 でも許せない奴もいる。

 二人を捕まえたという奴らだ。

 そんな奴らがいるから、僕は大嫌いな二人を助けなければいけない。

 殺したい。

 でも殺せない。


 お姉ちゃんに殺していいのと聞いたら、殺しちゃいけないと言ったから殺さない。

 でも悪戯はする。

 お姉ちゃんに悪戯はしていいのと聞いたら、ちょっとだけにしなさいと言われた。

 だからちょっとだけ悪戯する。

 三日三晩くらいにする。


 二人のいる所はすぐ分かった。

 たくさんの奴に囲まれていた。

 大嫌いな子分と一緒に囲まれていた。

 エリアスと仲のいいランドンと言う奴もいた。

 ランドンも大嫌いだ。


 ランドンはエリアスの子分ではないが、エリアスの言う通りにする。

 よく僕を虐めた。

 お姉ちゃんが僕にしてくれるように、エリアスをなでなでしたり抱擁したりする。

 だから前にエリアスと一緒に豚に変えてやった。

 そしたらランドンとエリアスは交尾していた。

 雄同士なのに盛っていた。


 そうだ、また豚にしてやろう!

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