異世界転移 33話目



「ふむ、別に我等はかまわん。


だが山岳地帯の奥に来るなら、それなりの実力者でなければ死を意味するな。」


「それは何故なのだ?」




現在、レーベン王国の王都にある宮殿の中庭にて、レーベン王国国王ローデリッヒ三世と黒竜王テクタイトの会談が行われていた。


「ケンから聞いていると思うが我等は魔人と交戦していた、それが一時とはいえ我等の産卵地のそばまで迫られ、龍様に助けられるとは他の龍様の眷族にいい笑い者になる。


そのため若い竜なんぞは自分等の力を龍様方に見せるために、他の種族の強者に戦いを挑むと言う者が後をたたなくてな。」


「では北部の解放は……。」


「いや、山岳地帯の奥にまで来なければ大丈夫だ、ワシ等は今は産卵地を守るのに忙しいからな。」


「おお……では!」


「だが、まだ無理だな。」


「!? な、何故じゃ?」


「北部の山岳地帯と平原にはまだ魔人が居る、我等はその討伐に手こずっていてな……。」


「竜王様でも手こずる相手が!?」


「そ、そんな!」


将軍達や貴族達から悲鳴のような叫びが上がる、一部の貴族からは領民達を故郷に帰せると思ったのに……や、皆、すまぬ! っと言った声が聞こえる。


さすがは王の近くに居れる貴族だ、まともなのが多いな? 何て思っていると、テクタイトから嫌な気配を感じて少し離れようとしたが、それと同時に俺はテクタイトに捕まる。




「……おい、なんで俺を掴む?」


「うむ、その手こずっている相手なのだが小さくて素早く小回りが上手くてな。


なのでそれ以上に素早く小回りが効き、強いのを当てれば問題なかろう?」


「お、お前まさか!?」


「うむ、ケンよ、手伝え。」


「ふ、ふざけんな! フェリクスか、アルヴァーでも連れていけ。 俺はクリスと今夜にでも1発どころか2発3発とな!?」


「なんだ、盛っておるのか?

なら戦いの後ならもっと燃え上がろう。」


「このアホ! 陛下の目の前で何を言ってるのよ!」


「竜王よ! 俺も連れていっていってくれ!」


「む? なかなかの強者だな。

良かろう共に魔人どもと戦おうぞ!」


「ま、待て! フェリクスが行くなら俺は要らない……と、飛び上がるな!」


黒竜王テクタイトは左手に俺を、右手にフェリクスを掴むと飛び上がる。


「ご主人様~、王家で王都に屋敷を用意してくれるそうです~!


そこであれを着て待ってますから~!」


俺はクリスの言葉にさらに暴れもがくが、テクタイトにしっかりと掴まれたまま、北部に向かい空を飛ぶのだった。


そしてーーー




「や、やっと帰ってこれた……。」




それから2ヶ月後、俺は王都に用意されたと言う自分の屋敷の前まで来ていた。


時間はすでに夜の10時で、城門で止められたがフェルデンロット男爵のケンだと確認されたとたんに通してくれた。


しかも自分の屋敷の場所が分からないので教えてくれと言うと、城門に詰めていた騎士が数人案内までしてくれた。


馬車も用意されたが俺は仰々しいから乗らないと言ったが、騎士達はそんなわけにはいきません! 是地とも馬車にお乗りください! っと言うので乗ってきた、あと騎士達が持つ旗と馬車に描かれた紋章を見た市民がなんか騒いでいた 、何でだろ?


なんにしろ早くクリスとイチャイチャしたかった俺は、外の声を気にせず屋敷へと急いだのだった。


こうして屋敷の前に着いた俺は、扉を潜ってなかに入りさっそく寝室に向かう。

時間的にクリスはもう寝ているはずだ、なので俺も一緒に寝ようと思ったのだ。




朝方まで寝ないけどな!




なんにしろ俺はクリスをビックリさせてやろうと、盗賊も真っ青な侵入術で気配を消し足音もたてずに寝室に入り込む。


そして部屋の中央に有るキングサイズのベッドの布団のなかに潜り込み、横たわっていた女性の背後から抱きついてオッパイをモミモミし始める。


「ううん……。」


「クリス、いつもの手のひらサイズのオッパイ……じゃないな?」


俺はモミモミしながら不審に思う、例えるなら2ヶ月前まで小さな早生みかんのサイズだったのが、なんと今は大きな夏みかんサイズになっていたからだ!


「ううん……クリス? 止めてよぉ、胸を揉まないでってば……。」


クリス、揉まないで?


「だ、誰だ、お前!?」


俺は思わずそう叫び、胸を両手で揉みながら布団をはね除けた!




……俺は両手でオッパイを揉んでるのに、どうやって布団をはね除けたんだろう?


なんにしろはね除けた布団の中からショートボブに切られた金髪が飛び出し、それを見て俺は俺が胸を揉んでいるのがミラーナだと気がついた!


「……? ……ケ、ケン!? いつ帰ってきた、アン! む、胸を揉まないでよ!」


「……おお! いつの間に!?」


「いつの間にって、アウン!? 揉むのを止めてって!」


「ぶ!?」


「ミラーナ様、どうか……ご主人様!?」


俺はミラーナにビンタされ、クリスが部屋に入ってきたのでやっと揉むのを止めたのだった。




「なんでミラーナが主寝室で寝てるんだよ……。」


「いや私だけじゃなく、クリスも寝てたわよ。」


「そう言うことじゃなくてな……。」


「ご主人様、私はおトイレに行ってたので……。」


「そう言うことでもなくてな!?」


「ならなんなのよ?」


ミラーナは少し頬を赤くして、ふくれながら言ってくる。

まぁ、俺も叩かれて赤くなってるんだが。




「ここは主寝室、つまり俺とクリスが裸になって色々とグチョングチョンになるところだ。」


「変なこと言うな!」


「ご、ご主人様、恥ずかしすぎます!」


「なんにしろそんなところにお前が寝てるのはおかしいだろ。 客間に行け、客間に。」


「はぁ、つまりここは夫婦の寝室だから、私には遠慮しろって言うのね?」


「そうとも言うな。」


「そうとしか言えないでしょ!


なんにしろ、それなら私にもここで寝る権利が有るわ。」


「はぁ?」


「だって私はあなたの婚約者なんですもの!」


「わ、私は第2婚約者とさせていただきました。」


「……ミラーナの婚約者はフェリクスじゃ?

それに第2婚約者ってどう言うことよ。」


とんでないことを言い出した2人に、俺は呆然としながら聞く。


「なに言ってるのよ、私の婚約者はあなたよ? 言ってないけど。」


「言えよ!」


どう言うことか聞いたところ、フェルデンロットを治めるのに将来的には伯爵位にはなる可能性も有るらしい。


で、無知で礼儀知らずの冒険者の俺に、せめてそこそこ良いところのお嬢さんをって話になって、ミラーナが立候補したそうなのだ。




いや、ミラーナはそこそこどころか、かなり良いところのお嬢様だろ? っと思って聞いたんだが、ミラーナが良いところのお嬢様すぎて、手頃な婚約者が見つからなかったそうだ。


そこに英雄とも言える冒険者が現れて、大恋愛の末に結婚と言う美談が出来上がったのだそうだ。


さらにクリスが第2婚約者になったのは、さすがにミラーナを押し退けてクリスが正妻になるのはあり得ないとのことで、クリスも納得して第2婚約者に降りたとの事だった。




「いや、どー言うことよ?」


「私だってもうすぐ18よ! そろそろ結婚したいのよ!」


「アイヒベルクのラルフが……いや、何にも言ってません!」


こっわ! すげぇ殺気を感じたぞ!?


「それでお祖父様に年内に、適当なのが見つからなかったら私が選ぶって説得してたら、帝国の食料問題が発生したでしょ?


そこにあなたが現れて解決してくれたのと、魔人を討伐したのを見てこの人しかいない! って思ったのよ。」


「いやぁ、そう言われてもなぁ?」


俺がそう言うとミラーナは体を小さくし、上目遣いで俺を見ながら弱々しく言ってくる。




「……私じゃ、ダメ、なの?」




そう言われて俺はミラーナを見る。


金糸のような美しいブロンドの髪をショートボブに切り揃え。


バランスのとれた抜群のプロポーションの体を自分の腕で抱くようにし、空色の目を潤ませながら俺を見つめてからすがるように俺に抱きついてくる。


そんな美少女を見ながら考える。


高位貴族、しかも王家や帝国の皇室ともつながりがある少女……ダメだな、権力者と繋がりができると何を言われるか分からん。




ここはハッキリと断ろう。




「ダメじゃない、ミラーナ、愛してるぞ!」


「ケン!」


「ミラーナ様! おめでとうございます!」


な!? 俺の理性や知性に自我を押し退けて、欲望が勝利したぞ!?


だってすがってきたミラーナのほどよい大きさのオッパイが、俺の二の腕とか色んな所に当たるんですもの!


ミラーナの綺麗で柔らかい手が丁度、股間の辺りに置かれてるんですもの!




「クリス、やったわ!」


「計画通りですね!」


「あ、ケ、ケンに聞かれちゃうじゃない!」


「あ!」


なんかミラーナとクリスが焦っているが、俺はそれどころじゃなかった。


何故なら嬉しそう抱きついてきたミラーナなのだが、反対側にはクリスが抱きついてきていたのだ!


「もう我慢できん! ダァー!」


「「キャ、キャー♪」」


こうして鋼の精神(腐ってる)を持つ俺は、ミラーナとクリスに襲いかったのだった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る