鬼の遺書

鳥頭三忘

ある句について


えんえんと 


ごうかにやかる 


われなれど 


わがひにくらば 


ぼやにひとしく



テレビのキャスターが紙を読み上げ、評論家に意見を求める。

「この句が最後に書かれていましたが、いったい彼は何故この句を最後に付けて送ってきたんでしょうか。  彼の言いたい事はもう痛すぎるほど我々に伝わってきているのに。」


キャスターは一度息を吸った後に

「彼はまだ何か伝えたかったのでしょうか。

 どうとらえられますか。」


評論家は何の気なしに言う。

「火は大きく強く燃えているのでしょう。

まるでまだまだ燃えつづけるとでもいいたげですな。」


それはいつもの昼下がりの日常






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