【カクヨム小説創作オンライン講座2019】

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Vol.1|アイデアの種を生みだそう

 ぼくはショートショートという小説スタイルに特化した、ショートショート作家を名乗って活動をしています。ショートショートの魅力といえば、すぐに読めてしまうにもかかわらず、驚かされたり、長く余韻が残ったりするというところが挙げられます。それと同時に1作あたりの執筆にかかる時間が長編に比べて短いため、書くハードルもそのぶん低く、誰でも気軽にはじめられるというところも大きな魅力のひとつです。


 でも、書くハードルが低いと言われても、どこからはじめればいいのか分からない。そう思う方も多いのではないでしょうか。


 普段、ぼくは執筆活動に加え、全国各地でショートショートの書き方講座を開催しています。参加者の方は様々で、小学生からシニアまで、あるいは少年院などでも開催しているのですが、創作経験のあるなしにかかわらず、みなさんおもしろい作品を完成させてくれています。その背景にあるのが、講座で用意している方法です。今回は、その誰でもできる方法をご紹介し、みなさんが創作に挑戦するうえでの初めの一歩にしてみていただければと思います。


 現代ショートショートとは、簡単に言うと「短くて不思議な物語」、もっと言うと「アイデアがあり、それを活かした印象的な結末のある物語」のことです。つまり、重要な要素のひとつがアイデアであるわけですが、そもそも、そのアイデアが見つけられないという方も少なくないのではないでしょうか。


 アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせだと言ったのはジェームス・W・ヤング氏ですが、ほかにも様々な方が既存の要素の組み合わせ、特に「言葉」の組み合わせ・掛け合わせによってアイデアを生む方法を提唱していて、メソッドになっているものや、アプリ化されているものなども多くあります。そんな中、今回ぼくがご紹介する方法でも初めに言葉の組み合わせを行うのですが、その組み合わせ方に少しだけひねりを加えています。

 それでは、どのようにしてアイデアの種を生みだすのか、実際に具体例を挙げながら説明していきましょう。


 最初に行うのが、「名詞」を挙げるというワークです。みなさんもぜひ、お手元でいろいろな名詞を10個ほど挙げてみてください。パッと思い浮かんだもの、目についたもの、好きな生き物、嫌いな食べ物……などなど、どんなものでも構いません。

以下、例を挙げてみます。

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 ソファー、シューズ、トンボ、お賽銭、ジム、サイコロ、花瓶、飛行機、松ぼっくり、ビール


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 さて、次に行うのが、この中からどれでもよいので1つを選び、その名詞から「思いつく言葉」を5つほど挙げてみるワークです。先ほどのワークでは名詞のみを挙げてもらいましたが、ここでは名詞でも動詞でも、形容詞でも副詞でも、どんな言葉でも構いません。

 たとえば、「ビール」という名詞を選んだとした場合の例を挙げてみます。

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 酔っぱらう、泡が立つ、発酵させて作る、ジョッキに入れる、キンキンに冷やす


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 これで準備は整いました。次に行うのが、いま出した言葉をあべこべに組み合わせて「不思議な言葉」を作るというワークです。出した順番とは逆にして、「思いついた言葉+名詞(選んだ1つ以外)」という順番で言葉の組み合わせを行って、現実にはない不思議だなと思う言葉を3つほどつくってみましょう。組み合わせるにあたっては、いずれの言葉も柔軟に変化させてもらって大丈夫です。

 例を3つ挙げてみます。

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 酔っぱらうシューズ、泡が立つお賽銭、発酵ジム


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 言葉を思いつくままに気軽に出していくだけで、あっという間に不思議な言葉をつくることができました。

 いかがでしょうか? これらの言葉がいったいどんなものなのか、気になってはきませんか?

 これこそまさに、アイデアの種というわけです。次回は、このアイデアの種を膨らませていくステップをご紹介したいと思いますので、ほかにもぜひ遊ぶような感覚で、楽しみながら不思議な言葉を自分でも考えてみていただければと思います。


 ちなみに余談ですが、この方法でいったい何が行われていたのかということについて、少しだけ解説を。

 たとえば「酔っぱらうシューズ」という不思議な言葉は、もとをたどれば「ビール」と「シューズ」という2つの要素を組み合わせたものに他なりません。慣れてくれば、この「ビール」と「シューズ」という要素から、いきなり「酔っぱらうシューズ」というイメージへと飛べたりするようになるのですが、最初のほうは難しい。

そこで、要素の片方だけを分解して(ここでは「ビール」を「酔っぱらう」という要素に分解)、言葉を組み合わせる作業をやりやすくした、というのが、この方法のエッセンスというわけでした。


 それでは、次回もお楽しみに!

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