第498話 超短編怖い話~駄菓子屋~

「最後のにこの話をしよう。田舎によくある駄菓子屋、これは男性が体験した話だ。ふふふ。」


中学生の頃、母親に怒られながら田舎の祖母の家に行った時の話し。

遊び盛りだった僕は友達もいない、遊ぶ場所もない田舎に行くのが苦痛だった。

けれど、親の言うことには逆らえず、渋々祖母の家に行った。


「よぉ来たねぇ。」


祖母は満面の笑みで出迎えてくれたのだが、僕はそれを素直に受け止められず、無視して奥の部屋に行ってしまったんだ。


「ちょっとあんた!!」

「まぁまぁええんよぉ。マー君(仮名)には退屈な場所だもんなぁ。」

「お母さん・・・。」


不貞腐れていた僕はすぐさま寝転がって目を瞑った。

どのくらい経ったのか、よくは覚えていないけど、目を覚ますと夕方でした。

お腹の音に押されて祖母の家の中を歩きましたが、何処にも誰もいなかったのです。


「・・・母さん?」


疑問に思いながらも空腹の方が優先され、僕はコンビニを探しに家を出たんです。

歩けど歩けどコンビニなんか見当たらず、人も誰も見ませんでした。

田舎なんてこんなもんだよなぁ。なんて思いながら歩いていると、笑い声が聞こえてきたんです。

誰かいる。それだけで僕の足はそこに向かいました。

数分でそれは見えてきたんです。


「駄菓子屋・・・か。」


そこは古びた建物に、お菓子が大量にある駄菓子屋だったのです。

ただ、そこは明らかにおかしな場所でした。

中にはにっこりと微笑むお婆さんと、真っ黒な複数人の子供がニタニタと笑っていたのです。

正直、嫌な感じがしました。

ですが、お腹が減っていたのでお菓子だけでも買おうと中に入ったのです。

その瞬間、先程までの笑い声は消え、視線が自分に集まるのを感じました。

ゆっくりとお婆さんの下まで歩き、側にあった麩菓子を手に取りお婆さんに渡しました。


「こ、これください。」

「あんた・・・帰りな。」

「え?」

「いいから帰りな!ここはあんたが来る場所じゃないよ!!」

「なっ!?いいから売ってくれよ!腹減ってんだよ!!」

「帰りな!!!」


お婆さんの迫力に負け、僕はその駄菓子屋を出ようとした時でした。

小さな手が僕の服の裾を掴んでこう言ったんです。


「おにいちゃん、いらないならちょうだい!いのちちょうだぁぁぁぁいぃぃぃぃ!!!!」


叫び声をあげながら僕は気を失ったんです。

目を覚ました時、僕は祖母の家にいました。


「・・・ゆ、め?」


そう思って安堵しそうになった時でした。

自分の手に麩菓子が握られていたのに気づいたのは。


「ふふふ。どうだったかな?私は駄菓子屋に行ったことは無いが、皆はあるのかな?あるならば、そこは本当にこの世にある場所だったのかな?私も行ってみたいな、駄菓子屋に。ふふふ。」





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