第352話 百物語合宿~お題:ウィジャ盤 後編~
それから無気力のように大学生活を過ごし、黒魔術研究会の部室に行くことはありませんでした。
けれど、運命の相手のことは気になり、Aさんだけは構内で探してみました。
けれど、一度も会うことは無かったのです。
「はぁ~。ここにもいない・・・か。つうか、会いたければ部室に行けよって感じだよなぁ。でもなぁ・・・。」
運命の相手のことも気になるし、Aさんにも謝りたい。
そんな思いを抱えたまま夏休みを迎えたある日。
俺は図書室でレポートを作成していました。
すると、作業服を着た初老の男性が見たことあるボードを持って歩いているのが目に入ったのです。
「あ、あれは!」
荷物を乱雑にバッグに詰め、俺はその男性の下へ走っていました。
「あ、あの!」
「ん?何じゃ?」
「そ、そのボードって・・・。」
「お?これか?今倉庫整理をしていてな。ヘンテコなもんが出てきたからな。いらないだろって思って、燃やそうかと・・・。」
「ちょ、ちょっと確認させてください!・・・やっぱりこれは!」
それはAさんオリジナルのウィジャ盤でした。
「これ、俺にください!」
「は?」
返事も聞かず、俺はそのボードを持って黒魔術研究会の部室に向かいました。
けれど、目にした光景は自分の知っている部室ではなく。
「あ、あれ?」
「おい!何するんだお前!」
「あ、あのここって、部室じゃ・・・。」
「部室?・・・あ~あ。何年前かは部室だったなぁ。」
「は?」
「ありゃあ確か・・・8年前だったか?ここを使っていた女っ子がいてな。運の悪いことに部室で荷物の生き埋めになってな。だ~れも気づかないままでなぁ。発見された時には亡くなってたんだわ。」
言っている言葉が頭に入ってきませんでした。
俺は数日前にこの部室で過ごしていたからです。
確認するようにあの掲示板を見に行ってもそこに、掲示板はありませんでした。
「何だってんだ?」
「・・・わかりません。でも、これを頂いてもよろしいですか?」
「あ?まぁ、いいけどよ。」
何とも言えない感情のままウィジャ盤を家に持ち帰り、机の上に置くとうウィジャ盤は動き出しました。
も う し ん で い る
「そういうことかよ。」
もしかしたら俺の運命の相手はAさん、だったのかもしれません。
「こんな話でどうでしょうか。」
そんなには怖くなかったかな。
「ふむ。実に興味深い話ではあるな。」
「何ていうか・・・怖いって言うよりも悲恋?って感じね。」
「でも、一応怖い話ではあると思いマスよ!」
千夏さんのフォローが若干痛い・・・。
「とりあえず合格としておこう。」
う~ん・・・。
このお題は難しいな!限定的過ぎて!
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