第265話 短編怖い話~人の話は・・・という教訓後編~

「おはようございます。」

「おはようねぇ。」

結局あの後、Bと長話をして気がついたら朝になっていました。

私はいつ寝たのか覚えていませんが、あの声だけは覚えていたんです。

だから私は大叔母に聞いてみることにしたんです。

「あの・・・。」

「あらなぁに?何かわからないところでもあったん?」

「いえ、実は昨日の夜にですね・・・。」

「・・・。」

「その、外から話し声が・・・。」

「Aちゃん、夜は早く寝ることよ。」

「え?」

「じゃあこの畑お願いね。あたしゃあっちの方に行ってくるかんね。」

「ちょっと!?」

それ以上、大叔母は話したくないとでも言うように他の畑に行ってしまいました。

この事を他の人に聞いても誰もはぐらかすばかりで答えてくれません。

「結局何だったんだろ。」

『気のせいでしょ?』

「でもさ、だったらあんな風になるかなぁ。なんか逃げられてるような・・・。」

『ん~関わり合いたくないってことかな?』

「え~?」

『いや単なる適当な言葉。でも、Aだって気にしなきゃいいじゃん。』

「でも・・・。」

『でも、何?』

「毎晩聞こえるのよ。気になるなって言う方が無理じゃん。」

そう、私はあの日以来夜に、時間はまばらですがだいたい11時から深夜の2時の間に声を聞いているのです。

『うっそマジ!?』

「うん。しかもなんか近づいてるような気がするんだよねぇ。」

『ちょっとやめてよ~。あたし帰りにくいじゃん!』

「それはごめん・・・。」

『はぁ~。彼氏でもいればなぁ。』

「あれ?あの人は?」

『あ~・・・別れちゃった。』

「またぁ!?」

『だってあいつ、ケチくさいんだもん。』

「だからって・・・きた。」

『え?え?え!?マジ!?』

「聞こえない?」

『いや全然。』

Bには聞こえないらしく、思い切って窓にスマホを押し付けても何も聞こえないらしい。

『何て言ってんの?』

「えっと・・・。『お母さん、ここも閉まってるね。』『そうね。』『次は開いてるかなぁ?』『頑張りましょう。』みたいな?」

『ん~・・・何それ?意味わからん。』

「いや私に聞かれても・・・。」

その時です。


ダンッダンッダンッ。

「開いてますか~?」


「え?」

窓を叩く音と共に子供の声が聞こえたんです。


ダンッダンッダンッ。

「アイテマスカ~?」


叩く音がだんだんと強くなり、言葉もなんか変な気がしてきたんです。


ダンッダンッダンッ!

「アイテ、マスカ?開いてます、か?アイ、テ、マスカ?開、いてます、か?」


嫌な汗と共に私は電気を急いで消し、布団に潜りこみました。


ダンッダンッダンッ!!

「アイテンダロ?開いてんだな?アケロ。開けろぉ!!」


ぎゅっと目を強く閉じ、自分が眠りにつくことを強く願いました。

そして、私が目を開けると、カーテンの隙間から陽光が差し込んでいました。

「あ、あさ?」

恐る恐る外を見ると、いつの間にか朝になっていました。

「よ、よかった・・・。」

私は無事でした。

何が起こったのかわかりませんでしたが、私は誰にも聞きませんでした。

皆が話したがらないのは、見て見ぬふりをする為だったのでしょう。

あの日以来、私は声も聞こえません。

悲しいことに、早寝早起きをするいいきっかけにもなりました。


ん~なかなかに謎が謎を呼ぶ話だなぁ。

親子らしき何かを結局何だったのか。

大叔母たちは何か知っているのか?

そもそも言い伝えはいつからあるのか。

本当に謎の多い話だなぁ。

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