第140話 麒麟園さんの怖い話~コテージ中編その2~

誰にも言えないまま朝を迎えた自分は朝ご飯を食べた後、こっそりと車を見に行ったのでありマス。

「・・・誰も、いない。」

けど、女性なんている訳もなく、見間違いだったんだって思うようにしたんでありマス。

「何してるの?千夏ちゃん。」

「明里ちゃん。実は・・・。」

自分は明里ちゃんに昨日の夜に見たことを正直に話したんでありマス。

「女の人?家の車に?」

「うん。けど・・・。」

「いなかった?」

「うん。」

「う~ん・・・千夏ちゃんが嘘をつくわけないし。わかった!夢だよ!」

「ゆ、夢?」

「うん!私もぐっすり寝ちゃったし、千夏ちゃんもきっとぐっすり眠っちゃって、それでそんな変な夢を見たんだよ。」

「そ、そうなのかな?」

「絶対そうだよ!あ!そうだ!なら、今晩も見てみない?」

「へ?」

「千夏ちゃんは夜に車に乗っている女の人を見たんでしょ?なら、今晩もいたら見れるでしょ?」

怖くて断りたかったでありマスが、明里ちゃんに嘘つき呼ばわりされたくない一心で、自分は明里ちゃんの提案に乗ることにしたんでありマス。

「じゃあ今日は何して遊ぼうか?」

「うん!」

それから暗くなるまで、自分は怖いことを忘れて明里ちゃんと遊んだんでありマス。

そして夜、父親が奇妙なことを話していたんでありマス。

「何だって?」

「いやだからな、変なおじさんに会ったんだよ。」

「嫌だわ。」

「それで家の車が気味悪いって?」

「ああ。青ざめた表情でおじさんは早くここから出て行けって。」

「何だよそれは!こっちは金払ってここに泊まってるっていうのによ!」

「あ、貴方!」

「変ねぇ。」

「どうしたのママ?」

「何か知ってるのか?」

「そうじゃなくてね。確かここの管理人って中年ぐらいの女性だったような気がして。ほら、ここの鍵を貸してくれたでしょ?」

「そう言えばそうだな。」

「てことは何か?そのジジイはいちゃもんを付けてきたってことか!あ゛ぁ?」

「もう寝ましょ貴方。ごめんなさいね。」

酔っていた叔父さんは怒っていたけど、自分にはそのおじさんが言っていることが正しいような気がしたんでありマス。

「ねぇ、さっきのてさ。」

両親が寝静まった夜に、明里ちゃんは自分が思っていたことと同じことを口にしたんでありマス。

「やっぱりそう思う?」

「だってタイミングが良くない?明里ちゃんが知らない女性を見た次の日だよ。てことはさ・・・!?」

明里ちゃんの言葉を待たずに、その夜も窓の外を何かが横切ったんでありマス。

「い、今のって?」

「き、昨日と同じだよ。ど、どうしよう・・・。」

「だ、大丈夫!私がいるもん!」

自分と明里ちゃんは夢である証明をする為に窓の外を見たんでありマス。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る