第138話 麒麟園さんの怖い話~コテージ前編~

「では次は自分が話しますね!」

身を乗り出した麒麟園さんの迫力のある胸が・・・。

「優君。」

さぁ、話を聞こうか。

「ほっんとに男って!」

返す言葉もござません。

でも仕方ないじゃん!大きな胸って目が勝手に見に行っちゃうんだもん!

「そ、そんなにむ、胸が見たいなら私のを・・・。」

柑奈さんのは柑奈さんので・・・。

「優君。今は千夏の話を聞く時間だ。聞きやすいようにこちらに来なさい。」

「ちょ!?式子!」

「んふふ。子犬ちゃんはみんなに愛されているね。かくいう僕も・・・。」

「麒麟園さん、お願いします!」

「んふふ。無視されるのも嫌いじゃないよ。」

「では話すでありマス!これは自分が小学五年生の頃に体験した話でありマス・・・。」


自分が小学五年生の夏に仲のいい親戚と田舎にあるコテージを借りてバーベキューパーティーをすることにしたんでありマス。

自分と同年代の明里あかりちゃんとは大の仲良しで何をするにも一緒でありマシた。

「ねぇ!千夏ちゃんあっちに川があったよ!」

「ほんと!行ってみましょう!」

「こ~ら千夏、勝手に遊びに行かないの。」

「え~いいでしょう?ね!」

「貴方もよ。明里。まずはコテージに荷物を運ぶの。」

「うー!」

親もまだまだ若かったので、少しだけテンションが高かったのでありマス。

「ハハハ!いいじゃないか遊ばせても。子供は元気が一番だよ。」

「貴方。」

「そうだぞ!明里、遊びに行ってきなさい。ここはパパに任せてな!」

「パパ大好き!行こう千夏ちゃん!」

「うん!パパありがとう。」

「・・・じゃあ私たちも行きましょう。」

「そうね。ここは男どもに任せましょう。ね?」

「・・・はい。」

「・・・うん、やっておくよ。」

自分たちは近くの川に遊びに行ったんでありマス。

子供だけでは危ないのでもちろん母親と一緒でありマス。

「うわー!」

「綺麗だね明里ちゃん!」

「うん!」

「二人ともー。ママたちの見える範囲で遊んでね。」

「はーい。」

「あっちに行ってみよう千夏ちゃん。」

「うん!」

自分たちは母親たちから少し離れた場所で遊び始めたんでありマス。

後から合流した父親たちが酒盛りを始めた頃だったと思うでありマス。

川の上に架かっていた橋に白いワンピースを着た女性らしき人影が見えたのでありマス。

「あれ?」

「どうしたの千夏ちゃん?」

「ねぇ明里ちゃん、あそこに人がいない?」

「・・・ほんとだ。何してるんだろうね?」

「う~ん。景色でも見てるのかな?」

「そうなのかな?・・・ねぇ、聞いてみない?」

「え?」

そう言った明里ちゃんは橋の下に近づいて女性に話しかけたのでありマス。



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