第47話 オカルト研究会に相談事~高橋君 解決~
「その影響かはわからないが、柑奈はそういうものが分かるらしい。」
なるほど!生まれつき霊感があるってことか!
「安中君、このヘアゴムは預からせてもらってもいいかな?」
「は、はい!」
式子さんは丁寧にヘアゴムをハンカチに包み、懐にしまった。
「こいつは・・・。」
つるつるに光る頭を掻きながら難しそうな顔を見せる男性。
「お預かりいただけますかお父様。」
「まぁ式子ちゃんの頼みだからな。聞かねぇわけにはいかねぇな。」
「では。」
「おうよ。わしの方で除霊しといてやるよ。だけど!一応その安中っていう嬢ちゃんと高橋っていうガキも連れてこい。念のためにお祓いしてやるからよ、無料でな。」
「いつもすみません。」
式子さんが頭を下げているので僕も一応下げておく。
「ところで、例の物は・・・。」
「こちらに。」
そう言うと式子さんはカバンから茶封筒を取り出し、男性の前に置く。
「いつもすまねぇな。」
「いいえ構いませんよ。」
中を確認せずに懐にしまうと、式子さんからヘアゴムを預かる。
「しっかし流行ってるなこいつ。」
「どういうことよ。」
お茶を持ってきた柑奈さんが僕と式子さんの前にだけおいて座る。
「あ、あれ?柑奈たん?父ちゃんのお茶は?」
「知らない自分で淹れれば?それよりも説明。」
素っ気ない柑奈さんの態度に先程までの威厳が消えて、涙目になっている。
この人が柑奈さんのお父さんで、このお寺の住職さんだそうです。
「すんすん。式子ちゃんが持ってきたヘアゴムな、以前にも持ってきた奴がいたんだよ。」
「ほぉ。」
「式子ちゃんので三件目だな。だから変に多いなと思ってな。」
嬉しそうに式子さんは笑う。
「式子さん?」
「なかなかに興味深いことを聞いたな優君。これは暇を見つけて調査だな。」
式子さんが楽しそうで何よりです。
「ところでこの坊主は式子ちゃんのこれかい?」
柑奈さんのお父さんは小指を見せてくる。
「いいえ。」
「もしやテメェ!柑奈のこれか!」
「違うわよ糞ジジイ!」
湯呑が顔面に直撃する瞬間を見れるとは。
「柑奈たん酷い!?」
「黙れ!!」
「あの、これどうぞ。」
何だか気の毒なのでポケットティッシュをあげよう。
「っ!?あ、ありがとな少年!いや~おじさん、君のことをクソガキだと思ってしまったよ~悪かったな~。」
俺の同情心を少しだけ返して欲しい。
その後の話を簡単にまとめるとこうなる。
後日、式子さんは高橋と安中さんをお祓いに連れて行った。
お祓いが終わると、安中さんは『肩が軽くなった』と言っていたらしい。
その後の安中さんは真っ赤な手を見ていない。
そして今は高橋から・・・。
「いや~美雪がよぉ~。」
惚気話を聞けている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます