第4話 クルミの木の秘密
さっそちゃん達が平石家に着任し、なし崩し的に平石家を対マウス星人
の前線基地にしてから三日後。
「ただいま、バイト先で肉じゃが余ったのもらったよ」
「「お帰りなさい、司令官♪」」
章太郎をさっそちゃん達が出迎える。
さっそちゃん達は、肉じゃがが気になって仕方がない顔をしていた。
彼女達全員がぐ~と、エネルギーが減ったことを音で表現する。
「皆お腹すいてたんだね、皆でご飯にしよう♪」
「「わ~~い♪」」
章太郎のごはん宣言にさっそちゃん達が喜ぶ。
彼女達の笑顔につられて章太郎も笑った。
「章太郎君、お帰りなさ~い♪」
台所に行くと白い割烹着姿のまりあが、食事の用意をしていた。
「すごく自然にいますけど、まりあさんは家の住人ではないはずですよね?」
長年連れ添った恋女房のように慣れた手つきで茶碗にご飯を盛り食卓に置く。
「ほっほっほ♪ その辺は宇宙人パワーであれこれ処理しましたから大丈夫♪」
「「社長、恐ろしい人っ!」」
この場にいるまりあ以外の全員が目のトーンが消えた。
猫田まりあ、狙った男は逃がさない自称十七歳だった。
「駄目だ、僕はこの宇宙人に侵略されてる」
未だ姿を見せないマウス星人より、何故か服装や発する臭いなどが完璧に章太郎の好みを抑えて押しかけ女房と化しているまりあの方が質が悪いと章太郎は思った。
「まあまあ、皆でいただきましょう♪」
まりあに流されて食事を始めた一同。
みそ汁、肉じゃが、ご飯、ブリ大根と和風な献立を皆で食べる。
「ジャガイモは戦場の味~♪」
とアンが口を開く。
「社長、お替わり♪」
ボクシーはさっそくご飯をお替りする。
「ボクシーちゃん、食べ過ぎは駄目ですよ」
ヤワラがボクシーをたしなめる。
「拙者もお替りを頂戴したいでござる」
サクラも食べるのが速い。
「和食も良いですけれど、洋食の方が好みですわ♪」
フローラは言っている事の割には、さっそちゃん達の中でブリ大根が大盛りだった。
「久しぶりに、ごはんが楽しい♪」
賑やかな食卓に章太郎が微笑む、母が死んでから仕事で家に帰ることのない警官の父親と二人暮らしだった東京では味わった事のない暖かな食事だった。
楽しい食事が終わり後片付けも済むと、まりあが笑顔で語りだした。
「そうそう、お庭のクルミの木について調べさせていただきましたが凄いことが判明いたしましたので付いてきてください♪」
そう言って庭へ出たのでさっそちん達と付いていく。
庭に生えているクルミの木、死んだ祖父が子供の頃に植えたらしい不思議な木だ。
「ささ、章太郎さん触れてくださいな♪」
まりあが章太郎の手を取り木の幹に触れさせると、その場にいた全員が一斉に木の中にスルっと吸い込まれた!
「ええっ! ここどこ!」
気の中に吸い込まれたと思ったら森に出ていた。
「ここはあのクルミの木の中です♪ これ、バースト星の昔の宇宙船ですよ♪」
まりあが楽しそうに適当な木に触れると、デジタルスクリーンが虚空に浮き出てきた。
さっそちゃん達はそれぞれが楽しそうに木に向かって行った。
「すご~い♪ どれも沢山クルミが実ってます♪」
感心するアン。
「ひゃっほ~♪ いっただき~っ♪」
「拙者も、いただくでござる♪」
ボクシーとサクラはジャンプで駆け上がりクルミの実を捥ぎ取る。
「私達もいただきましょう♪」
「デザートですわ♪」
ヤワラとフローラも実を取りに行く。
「え~と、これは一体?」
章太郎は呆然としていた、何故我が家に宇宙船があるんだ?
「送り主からのメッセージがありますにゃん♪」
まりあが猫耳を出して、スクリーンを操作するとまりあと同じような猫耳の
宇宙服姿の青年の映像が生えてきた。
映像は語る。
地球で出会った我が友、平石亨少年にこのプラントシップを送る。
いつか君や君の子孫がバースト星に来てくれることを願う。
と言ってメッセージが終わる。
「
祖父が宇宙人と交友を持っていた事実にさ更に驚く章太郎。
「凄いですねえ、おじい様♪ この方、今のバースト星の大統領ですにゃん」
まりあの言葉に章太郎が噴き出す。
「祖父ちゃん、生きてた時に何してたんだ!」
祖父の記録とか漁らないとまずいと思う章太郎だった。
「おそらく敵の狙いはこの宇宙船だと思います、今さっそちゃん達が食べている
クルミは栄養満点な万能の宇宙食なんです」
「だとすると、今までは何で無事だったんだろう?」
まりあの言葉に疑問が生まれる。
「この船、乗船に遺伝子認証が必要なようでそれを突破できなかったのかと」
「え? という事は僕が狙われるって事!」
「ええ、ですから私やさっそちゃんが章太郎さんとこの船をお守りいたします」
自分にとばっちりが来ることに焦る章太郎と彼を守るというまりあ。
「これも何かのご縁ですにゃん♪」
ぐふふとまりあが笑うが、章太郎は頭を抱え込んだ。
明かされた謎、さっそちゃん達は章太郎と宇宙船を守れるのか?
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