夢物語に届かぬ現実

月が綺麗だったから

あなたを起こそうかなと一瞬思ったけど

疲れて寝てるのにそんなことで起こせないよね

数百年に一度の月っていったって

見てみたら、こんなもんか、って思っちゃうもんだよね


天井に綺麗な夜空を写して寝てみたい

こんな夜なら

子供の頃から憧れていた夢の世界に出かけられそうな気がしたの


でも王子様は眠ってるし

私はドレスどころかTシャツとパジャマ

現実とはそういうもの

いい歳こいて何言ってんだって笑われてしまう


体ばっかり歳とるけど気持ちはてんで子供

気持ちに似合わぬ大きくて錆びついた身体を与えられて

苦しくて苦しくて仕方がない


みんな、そうやって夢が叶わないから、

歌ったり、絵を描いたり、お話を書いたり、するんだね

その中ならどこまでも飛べるものね


紺色と青色が混じる空に、ひときわ明るい月が非現実へ誘う

枯れかけた薔薇と、公園に茂る黒い木々

変な世界へ行けそう

だってほら現実なんてつまらないじゃない


こうして、

幸せに暮らしました、めでたしめでたしって

綺麗に、続いていくように、終わる物語


綺麗だ

とても

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