ポンポコタウン

これは、緊急事態か?仕事どころではないのではないか?


わからない。取り敢えず隣の狸に話しかけてみた。


「あの、狸ですか?」


フサフサフサ


前足で頭を搔く狸。かわいいなあ。


「狸ですか?」


フサフサフサ


尚も頭を搔き続ける狸。かわいいなあ。


フサフサフサ


ピギャーーーーー!!!!!


突然狸が叫んだ。それはまな板に向かって怒鳴りつける鬼婆のようであった。


ん、なんだ、なんだ。


周りの狸たちの視線が集まる。ソロソロソロソロ、近寄ってくる。


なにか、禁忌を犯してしまったのか、、、、。はっ、、痴漢、、。


勝手に電車内で勝手に人間の体を撫でたら痴漢だ。しまった。狸に、痴漢してしまった。


ピンポーーン!!


そんなことをしているうちに、会社の最寄り駅に着いた。駅員さんのアナウンスはないが日本語で駅名は書かれている。


でぃすすてーしょんいずぱんだかかんだか~


録音されたいつもの音声は聞こえる。しかし、その頃には狸が私の周りを取り囲んでいた。


はあはあ、どうしようか、どうしようか、、、。


逃げるぞ!!


ズダダダダッ!!


周りの狸たちを蹴散らし、電車から飛び降りる。改札にパスモをかざす。


ピコーン


開いた。改札を抜ける。狸たちはパスモをかざさずとも通り抜けることが出来る。ズルッ!!


外に出ると、車が普通に走っている。信号も動いている。赤信号ではちゃんと車が止まっている。秩序が保たれている。人間が運転しているのではないか、と思い覗いてみたが、運転席には狸が座っていた。ぶーんぶーん、狸が運転していて、かわいい。しかし、足、届いてるのか?ブレーキ、とっさに踏めるのか?そんなことを思いながら、狸から逃げる。まだまだついてくるたぬきたち!!

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