桜の記憶
何事かと思い顔を上げると、桜は上空を見つめ固まっている。
その視線を追うように空を見る。
「――!」
そこにいたのは、一体のガーディアン。
背中から翼を生やし飛行形態となった姿で、桜を見下ろしていた。
居場所を特定できないことに業を煮やしたか、上空からの偵察に作戦を切り替えたらしい。
「ガーディアン! さっさとそのクズ共を始末しろぉ!」
焦る片桐の叫びに呼応するように、ガーディアンが手にした剣を握り直す。
「――ちっ!」
慌てて、俺は手元の作業を再開した。
半ばやけくそで、一気に残りの繋がった部分を破り取る。
「あ……」
隣で呆然としたままガーディアンを見ていた桜が、声を詰まらせたような喘ぎを漏らす。
一瞬、ページを切り離したせいで不慮のトラブルが起きたのかとドキリとしたが、桜の漏らした声は別の原因がもたらしたものだった。
「……」
すぐ目の前にある光景に、俺も声を詰まらせる。
桜の眼前。
ほんの数センチ先に、ガーディアンの剣が突き付けられて止まっていた。
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