ねえ

そこの金魚

そう

その

苦しげに水面から口を出して何かに怯えるように人間様に怯えるように目を泳がせてそれでいて尾鰭を無意識に誘惑するように揺らめかせて透明なガラスにくっきりと自らの存在よりも鮮やかに影を落としてガラスの外に出ることもできないくせに物欲しそうに口をぱくぱくさせている

真っ赤な金魚

私がね

私の血でね

真っ赤にしてしまったの

真っ赤に染まって

真っ赤になってしまったの

可哀想だから

あなたが

白にかえしてあげて

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい