+4= 貴女の走り書き


私のことはあなたがわかっていてくれればそれでよくて。あなたのことは私がわかっていさえすればそれでよくて。それで、いいと、思っていた。

そんな走り書きがあった。


あなたがね、私の目を見て、私のことを好きって言ったのよ。愛してるって言ったのよ。

そんな走り書きがあった。


あなたがいなくなってもあの頃に戻るだけなのに、なぜこんなにこわい。あなたがいなくなっても大丈夫なように、あなたを嫌いになりたい。

そんな走り書きがあった。


あなたが会いたくないと思えばそれで終わってしまう関係だとあなたはわかっているんだろうかと思っていたけど、そうじゃなくて、私が会いたくないと言えばそれで終わってしまう関係だってあなたはわかってたんだね。

そんな走り書きがあった。


あなたの行動は私にとっては裏切りだったけど、他者から見れば情熱的な愛かもしれなかった。私を救った、よりにもよって、あなた。

そんな走り書きがあった。


忘れることと、忘れられること。どっちがつらいだろう。ああ、もうだめだ。どっちも嫌。

そんな走り書きがあった。


貴女の、そんな、走り書きが、あった。



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