遠くへ行きたかった。


一人ぼっちでもいい、ただただ、遠くへ。


紅茶にミルクを入れたみたいなまどろみが欲しくて、それが、ひどく、羨ましくて。


飴が溶ける間の僅かな余韻が愛しくて、大切にしていたのに。

それがなくなってしまったから。


カーテンの閉め切った部屋で、まるまって、目をつぶって、消えていってしまうだけだから。わたしには、それだけ、だから。


ミルクがぐるぐると消えていくように、飴がそろりと溶けてくように、わたしが少しずつ消えていくように、水平線を歩きたいのだ。


そして。

どこまでも。


どごまでも、遠くへ。


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