第8話 電話には気づかない
あいつは、家に帰ってきてからと、
休みの日の、仕事の電話には出ない。
わざと聞こえないようにカバンの奥にしまうのだ。
私は、無視できないタイプ。
無視した電話が気になって落ち着かないタイプ。
あいつがソファーで寝ている夜の9時半、
しつこくブーン、ブーン、ブーン、と携帯が振動していたので、「なんか、携帯なってない?」って起こしたら、
カバンから携帯を出して確認、
「なんだ、誰か死んだのかと思った」
だとよ。
そして私をチラッとにらみ、すぐにまたカバンにしまった。
えーと、あいつの電話ではなく、テレビの中の音でした…。すんません。
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