フェイルローズ バラの神聖騎士団

サファイア

オープニングチャプター 美しき薔薇騎士団

フェイル1 フェイル薔薇騎士団

「待ちなさい!」


 イギリスのロンドンのサザーク地区にて、一人のブロンドの長髪に青い瞳をした美女が中年の男を追いかけている。彼女の名は、セレス・フェイル。フェイル家の長女で、秘密結社フェイル薔薇騎士団の騎士団長である。

 セレスは、財布を盗まれ、取り返すべく追跡している。


「しつこいアマだな!」


 男は、露天の商品を投げつけて、追跡の足止めをするが、セレスにあっさりかわされる。

 男の体力が尽き、セレスに捕まってしまう。


「お前、女の私よりも体力が少ないとは、情けないですね。おとなしく返せば、警察には、通報しません」

「くそ!」


 男が、セレスの腹を蹴りナイフを取り出す。


「俺は、不況で失業し、こうするしかないんだ。命の綱を切るんじゃね!」

「仕方ないですね。痛めつけましょう」

「死ね!」


 男が、腹を狙うが、セレスにナイフを落とされ、パンチを食らってしまう。次に、適当にパンチしたりするが、かわされパンチや投げ技を食らってしまい、さらに、杖のコンボラッシュを受けてしまう。

 男が、怯んでる姿にセレスは、嘲笑しながら言った。


「愚かな。そんな、4流の攻撃では通用しませんよ。観念しろ」

「くそーー!」


 男が、銃を取り出し、発砲しようとすると、上から青を基調とし執事服を着た黒髪の青い瞳の青年が現れ、男に強烈な回し蹴りを浴びせた。

 吹き飛ばされた彼は、ゴミ置き場に叩きつかれ、失神した。

 

「大丈夫ですか? セレス様」

「ミクリオ、助かりました。貴方は、本当に信頼できる執事です」


 ミクリオと呼ばれた彼は、イギリスと日本のハーフである水谷兄弟の長男の水谷ミクリオ。セレスの専属執事で、セレスが信頼できる人物だ。ミクリオの下には、3人の弟がおり、セレスの妹3人に、それぞれ専属執事がいる。

 

「どうします? 男を通報しますか?」

「いや、通報しないでください。奴は、失業してますので、仕事を探させてください」

「分かりました」

「ところで、貴方の弟達は、どうしてますか?」

「セレス様の妹3人の付き添いをしてます。イクスは、相変わらずレベッカに怒鳴られ、パンチ一発受けて、ルカは、ライラ様と共に、カフェでのんびりしてますが、シングは、相変わらず馬鹿な事してます」

「まったく、自分の兄が、困ってるのを分からないのでしょうか?」

「しかし、シングは有能な奴ですから、大丈夫です」

「そうですか」


 すると、ミクリオがこんな事を言い出す。


「それと、セレス様」

「なんですか?」

「我々の傘下の企業から、融資をしてほしいと申請してます」

「融資? どうせ、シルバー工業でしょ? まともな経営ができない奴は、金庫だと思ってるのですか? 上下関係が分かってないようですね? で? いくら融資して欲しいと?」

「37万ポンドです」


 の日本円で約5千万である。セレスは、無能な経営者を哀れと思い冷たい表情でこう言った。


「分かりました。融資しましょう。ミクリオ。経営者にこう伝えなさい。「年末決算までに、融資額の2,5倍近くの利益を出さなければ、傘下から外し、海に沈める」と伝えなさい」

「分かりました」

 

 ミクリオは、スマホを取り出し、部下に伝言するよう伝えた。


「さて、財布を取り返したし、ミクリオ、買い物の手伝いをお願いできますか?」

「喜んで」


 セレスとミクリオは、ランべスにあるスーパーで日用品、食材を購入するため、タクシーで、そのスーパーに向かうことにした。

 2人は、手を繋いで、歩いており、まるで新婚カップルで夜に例の…


「これ以上言うと私の魔術で凍らせて殺しますよ?」

「命が欲しくないようだな? お前」

 すみません!命だけは、助けてください!

「ママ? 第4の壁ってなに?」

「知らないほうが身のためよ」


  さて、気を取り直して、2人は、ランベスのスーパーに向かう為、タクシー乗り場へあともう少しというところで、ミクリオのスマホが鳴る。


「また、電話か」

「どうやら、分かっていないようですね。処刑確定ですね」

「とりあえず、出ます」


 ミクリオは、電話に出る。


「なんだ」

『ミクリオ執事長。総本部の連絡係の使用人の者です』

「使用人が何の用だ?」

「使用人?」

「はい。で? どうしたんだ?」

『実は、旦那様と奥様から、セレス様とミクリオ執事長に「早急に戻ってほしい」と』

「早急に? どうしてだ?」

『それが、「頼みたいことがある」だと。他のレベッカ様達にも、同じ事を伝えてます。ですので、ミクリオ執事長、セレス様も速やかに戻ってきてください』

「分かった」


 ミクリオは、電話を切り、セレスは不思議そうな表情で尋ねた。


「どうしたんですか?」

「はい、セレス様。旦那様と奥様が、我々に「早急に戻って、頼みたいことがある」と」

「父上と母上が?」

「はい、レベッカ様達も伝えてあるみたいので、急いで戻りましょう」

「分かりました」


 セレスとミクリオは、タクシーに乗り、総本部に向かった。果たして、頼みたい事とは?

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