第7話 アニメ知識勝負

「作品名は『ゼロテスター』です。変形合体する機種はテスター1号機。マーク1、マーク2、マーク3の三機が変形合体してテスター1号機となります」

「正解!」


 俺はムラート皇太子の回答に驚き、そしてそれが正解だった事に対して更に驚いた。


「最初の変形合体はゲッターロボじゃなかったのか?」

「ふふーん。今回の問いは変形合体ものの元祖であり変形合体ロボではありません。ゼロテスターの放送開始は1973年10月。ゲッターは1974年4月です」


 したり顔で解説する皇太子。確かにゲッターよりもゼロテスターの方が早かった。

 しかし何故、異星人なのに日本のアニメに詳しいんだ。これは油断できない。全身全霊を込めて戦う必要があると感じた。


 ピンクの獣人と派手なピエロが踊りながら次の問題を読み始めた。


「さあ、合体変形ロボの元祖と言えばゲッターロボですが、ではこの作品をコミカライズした作家は誰でしょうか?」


 これは簡単だ。

 俺は迷わず目の前のボタンを叩く。しかし、赤く光ったのは俺の隣、シファー・マラクさんのボタンだった。


「石川賢さまですわ。竜馬さまの、あのワイルドな描写が素敵」

「正解です」


 ピエロのコールにシファー・マラクさんは頬を赤らめながら俯く。

 そんなにファンだったのか。石川賢の。確かに、あのバイオレンス描写には定評があった。


 ピンクの獣人が次の問題を読み上げる。


「魔法少女アニメの元祖と言えば『魔法使いサリー』ですが、サリーは二人の使い魔と同居していました。その使い魔の名前とは?」


 しまった。俺は魔法少女ものには弱い。

 サリーが元祖魔法少女アニメだと知ってはいたが、その使い魔の名前なんて知らない。


 ここでボタンを押したのは、執事のアキュラだった。


「カブとポロンです。作中では、カブは男の子、ポロンは女の子として描かれています」

「正解です! これでムラート皇太子チームは2ポイント、和也君チームは1ポイント」

「ふふふ。魔法少女ものに関してはこの私にお任せください」

「いいぞアキュラ」


 不敵な笑みを浮かべる執事のアキュラ。そして勝ち誇るような笑顔を見せふんぞり返るムラート皇太子だった。これはヤバイ。日本のアニメであれば楽勝だと思っていたのは大間違いだった。この猫獣人たちは、その辺のオタク顔負けの、アニメオタクだったのだ。

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