問0-5 神 VS 数学 (聖戦)

 

 机上には、5限目の数学Aの教科書が置いてあった。僕は、ふと静かに考えた。もしかすると席替えとは、神の采配ではなく、数学の確率によって解明できるのではないか?


「神ではなく、数学を信ぜよ!」


 インスピレーションが、雷鳴の如く僕の脳髄に降りてきた。これは悪魔からの啓示かもしれない。そして僕の胸にズンズンと神への猜疑心が募ってきた。そして地獄へと落とされ、業火の中で一人、悶える自分の絵画が頭に浮かんだ。、灼熱の炎の中でも僕はこう叫ぶのだ――!


「真実を知りたい! すべては、恋といふもののためである!」


 神 VS 数学。古代から現代にまで、神と数学は、剣を交え、魔法を詠唱し、戦い続けてきたのである。


【 holy war 】 ホーリーウォー 聖戦なのである。


 僕は心身の根幹から、いやがおうでも沸騰する渾然一体とした何かが目覚めた。必ず聖戦に勝利し、聖杯を腕に抱えて、この世の理、真実を確かめなければならない。果たして、僕が白鳥の隣の席になる確率は、何パーセントなのだろうか?


「好きな女子の隣の席になる確率は、何パーセントなのだろうか?」


 ――ここに聖戦の幕が切って落とされた!




つづく






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