第53話 監視対象者の罰

(お子様は見ちゃダメですよ)

★分岐点3★

とある場所で・・・


「それで・・・これは一体どう言う事なんだ?」


そこには下界に転移する一行と、未来へ転生する一行を壁に映し出される映像で見ている者達が居た。

先の一行達よりも早く起こされた男が、コラソンと龍人たちに紹介されたのは探し求めていた女性で、2人きりで事の成り行きを見守っていた。


「見ての通りよ。一組は下界へ戻ったわ。もう一組は未来へ転生したでしょ?」

ありのままの事を告げる女性。


「そんな事は解かっているさ。どうして俺だけ1人でメルヴィと一緒なんだ?」

「あら、私と一緒は嫌なの? お兄ちゃん」

「い、イヤじゃ無くて、何故なのか気になるからさ」

「私と、どれだけ離れ離れになっていたか知ってる?」


思い出そうとするエルヴィーノだが、どうでも良さそうに話しを続けるメルヴィ。


「私が居ない間に沢山浮気した罰を与える為よ」

眼光を輝かせて獲物を見定める様にして語るのは、長い間行方を探し求めていた事になっていた女性だ。


メルヴィの事をいつも気に掛けて、事有る毎に冒険者ギルドに捜索願を出していた事を盾に、妻が増えたのは自らが求めた事では無く、不可抗力だと説明しても「全部見てたからね」と言われ、今現在のように離れた場所で愛し合う場面を見られていたと自覚してしまい「あうっ、だけど・・・」言葉に詰まるエルヴィーノだ。


「本体のお兄ちゃんは、永遠にここで私と暮らすのよ」

「本体!?」

本体と言われて気になるので問いただす。


「二組のお兄ちゃんはどちらも複製なの」

「複製!?」

「ええ、身体は全く同じよ。ただし魂を分割したの」

「どういう事だ!?」

「体は複製できるけど、魂は複製出来ないの。それをしても別の人格になるのよ」

「だから魂の分割をしたと?」

「ええ」

「それって、何か影響は無いのかよ」

「大丈夫。龍人たちが長い時間を費やして研究したそうだから」


事の次第と面倒な説明を龍人になすり付けるメルヴィと、龍人が検証したのであれば・・・と鵜呑みにし、既に転移も転生も終わっているので、どうにも出来ない状況を理解するずっと監視されていたエルヴィーノ。


そして本体のエルヴィーノに用意されたのは1人だけ罰を受ける事。

浮気の罰は永遠にメルヴィと2人だけの世界で愛し合う事だ。


勿論、本体である本人にとっては罰とは考えず”望む所”だが、”とりあえず10日”もヤリまくれば他の話題をネタに外に出る事を考えるも、今は”目の前の妻”だけに集中しようと思っていた。


一方のメルヴィも”とりあえず10年ほど”ヤリまくって・・・と同様の思考だが、2人の時間軸がずれている事に気づくのはエルヴィーノが飽きた頃になる。



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



「ところでお兄ちゃん。久しぶりに愛し合う前にいろいろ説明する事が有るの」

“長い間”待ち望んでいたが、目の前にその対象者が居るので後しばらくは我慢しようと思ったメルヴィだ。


今は無き実家を思い出させる材料と色合いを使って造られた場所で、居住空間は広く応接室の様な落ち着いた場所に、2人の寝室、風呂場、エルヴィーノの部屋、メルヴィの部屋、それに小部屋が三つ存在する。


そして応接室に置かれているフカフカのソファに座り、寄り添いながら腕を絡めて壁面に映る映像を見ていたが、2人だけだと誰の目も気にする事無く何度も唇を重ねていた。

当然のように相棒も脈動するが「話しが終わってからよ」と、あしらわれる始末だ。


メルヴィにとって”我慢した時間”に比べれば、説明する間など瞬きする程度以下の瞬間的な時間の感覚だった。とは言いながら抱き付き、以前よりも豊満になった霊峰を押し付け足も絡めての説明だ。

当然ながら拘束具下着の中で脈動する相棒はいつでも準備万端の状態になっていた。



「まず、この場所は亜空間だけど転移で移動する事は出来ないわよ」

そう言われ、無言で転移を試して見るが一向に魔法が発動することはなかった。

即ち、この空間からの自力での脱出は不可能と言う事だ。

その事で嫌な汗が額から出るがメルヴィに見透かされてしまう。


「ホントにもう、出来ないって言ったでしょ。ルルディが居る所とは違うのよ」


一瞬だが固まってしまったエルヴィーノだ。

ヴィオレタの事までバレていると自覚してしまった。

(まさかコラソンが告げ口するはずは無いし、イヤもしかすると・・・)

虚ろな目線で思考に渦にハマっていると、メルヴィが耳元で囁く。


「全部見たって言ったでしょ」


ビクッとして言い訳をしようとすると唇を重ねて来たメルヴィ。

「後でタップリお仕置きだからね」

いつか誰かに言われたような言葉を違う女性に告げられるエルヴィーノだ。


(しかしこの仕組みは不味いなぁ。何処で何していても全部見られているのかぁ。困ったななぁ・・・)

脱出不可能と解っていても、何故か脱出した後の事を想定しているエルヴィーノだ。




この特別に作られた場所は異空間に作られた部屋で、例の紫の愛人が居る場所と同様の空間だそうだ。

そして”メルヴィの本体”が持つ宝玉の中に封印されている。

無論出入りする方法は有るがエルヴィーノには教えないメルヴィだ。




メルヴィ自身の事と龍人との関係性は伏せて、今後の生活主に愛し合う事を中心に、気晴らしの方法を説明するメルヴィ。


「お兄ちゃんが本体だから、分身体に思考を移す事が出来るの。勿論戻って来る事も出来るよ」

「それは・・・身体では無くて魂が転移すると言う事か?」

「・・・まぁ、そんな感じ。魂じゃなくて意識だけどね」

「でも分身体にも魂が有るだろ? どうなるんだよ」

「大丈夫。分身体に移っても身体を動かせる訳では無いの」

「うん???」

「感覚的には身体が勝手に動く感じらしいよ」

「それって・・・気持ち悪いな」

「そうだけど、匂いや、味、身体で触る感覚は有るらしいよ。まぁ早く慣れた方が良いかもね」


だが、ある事が気になって聞いて見た。

「それって・・・夜もか?」

「お兄ちゃんのスケベ!! でも、夜も同じような感覚になるそうよ」

頬を膨らませてメルヴィが怒るが、ちゃんと答えてくれた。


腕組みして考えるエルヴィーノ。

「戻る時は?」

「勿論、専用の魔法が有るよ」

「そうか」


それを聞いて安心したエルヴィーノ。

いつでも下界に”降りる”事が可能だと言う事だ。

分身体を介しての行動だが、思考は同一なので本来の自分の行動とも言える生活を体感できるのだ。

もっとも本体である意思の自由行動は出来ないが、家族や妻達との”触れ合い”は楽しめるはずだと考えた。


「安心して、お兄ちゃんが勝手な事をしない様に強制的に戻す方法も有るから」

笑顔で説明するメルヴィだが、隙を見て抜け出す方法を考えていたエルヴィーノは苦笑いしていた。



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遂に探し求めていた女性が見つかり、いろいろと説明を聞いた後で、これからと言う矢先にとんでもない事を口にしたメルヴィだった。


「後さぁ、私も三人でしたいなぁ」

ここで何をしたいのかは聞かないエルヴィーノにニコニコと微笑むメルヴィ。しかし・・・

(以前はもっと純情だったのにナゼなんだ??)

ずっと視られていた事をウッカリ忘れて自己中的に考えるエルヴィーノだった。


「それでね、特別にあの子を呼ぼうと考えているの」

これから久しぶりに対戦するのに、いきなり混合戦をやりたいと言い出すメルヴィにドキドキしながら誰の事を言われるのか不安でたまらないエルヴィーノだ。


「だ、誰を呼ぶんだ?」

(チッ、焦ってドモッてしまった)

「気になるの? お兄ちゃん」

「べ、別に」

クスクスクスと笑うメルヴィ。


「その時のお楽しみよ。それまでタップリと時間をかけて・・・ふふふっ」

そう言ってエルヴィーノの手を取り寝室へ消えていく2人。




部屋に入ると鼻息が荒くなる2人だ。

今まで我慢していた欲望が爆発したようだ。

「あなたぁ!」

「メルヴィ!」

抱きしめて唇を押しつける2人。

その行為に答える様に激しく舌を吸い込み嬲る男と女。


先程までの事など全て忘れて二匹の淫獣となりベッドへ倒れ込む。

舌を絡ませたまま衣服を脱がし、産まれた時の姿になると灼熱と化した相棒がメルヴィに触れる。

瞬時に理解したメルヴィは腰をグイグイと押し付けて、その灼熱の元凶を挑発してくる。

以前よりも成長した霊峰を思う存分揉みしだき先端を甘噛みする。


「ああぁぁぁっ」

溢れ出るメルヴィの吐息と共にこぼれる言葉。


相棒は秘部に直接擦られ続けた為、メルヴィの体液がベットリと付着し言葉を交わさなくともお互いがどんな状態が解っていた。


しかし、エルヴィーノは見たい場所が有った。

長くご無沙汰だったメルヴィの秘部だ。

両足を持ち上げて秘部を露わにする。


「いやぁぁぁん見ないでぇ」


(そんな事言ったって見るに決まっているよ)と思いながら顔を近づける。

そして舌全体を使って下から上にユックリと舐めた。


「あうぅぅぅっ」


ビクンッと動いた後、小刻みに震え敏感な秘部と突起部分を丁寧に味わうと、ふと思った。


(甘い・・・この甘さは、あの女に匹敵するぞ。前はこんなに甘かったかな?)


蜜壷秘部の別名から溢れだす体液は、例の妖精王と互角の香りと甘さを有していた。

一瞬その事が脳裏を過ぎったが、即座に切り捨ててしゃぶりまくったエルヴィーノだった。


初めての時と同様に最初の波が訪れた。

メルヴィの両足はエルヴィーノの顔を力強く挟み腰を浮かせて絶叫する。


「ああああぁぁぁっ、お兄ちゃあぁぁぁぁん!」


ヒクヒクするメルヴィの両足を大きく広げて、ようやく出番が回って来た相棒を蜜壷に押し当てる。


「ねえぇ、久しぶりだから痛いかも・・・優しくしてね、お兄ちゃん」


実際は初めての体験となる”複製体”だ。

昔を思い出すと、痛がるメルヴィに何度も回復魔法を使い、少しずつ侵入した記憶が有るエルヴィーノ。

しかし何度か経験する内に、最初に痛いのを我慢して奥まで入った後に回復した方が、苦痛の時間が短くて済む事を説明した。


“初めての経験値”が多くなって自慢している夫を、お兄ちゃんの事は”全て視ていた”から知っている行方不明だった妻。

しかし女の子なので久しぶりに見る灼熱の相棒に貫かれる身としては言いたくもなる。


「入るよ」

角度を調整し鼻先が付きそうな距離で囁くと頷くメルヴィ。

そして、ゆっくりと一気に侵入する相棒。


グググッ

ずぶずぶずぶ・・・

「痛たぁぁっ!」

ギュッと爪を立てて我慢しながら受け入れたメルヴィは自ら回復魔法を使った。


(まさか二回も同じ痛みを受けるなんて夢にも思わなかったわ。あっ、分身体が居るから後二回かぁ)

だが、その激痛も至福の痛みだと知るメルヴィだ。


涙ぐむ表情を見て愛しさが増すエルヴィーノ。

「そんなに痛かったか?」

「うん。久しぶりだったから・・・」

まさか複製体での初体験とは言えないので誤魔化すメルヴィ。


巨大な霊峰が重力に抵抗してそそり立つが覆いかぶさり抱きしめ合う2人。

そして少しづつ動き出す相棒。

気づかれない様に回復魔法を使うメルヴィ。


唇は激しく相手を求め相棒の動きも徐々に激しくなる。

そのまま止まる事の無い相棒の動きが止まる時は、どちらかが絶頂に達した時だ。


エルヴィーノは久しぶりにメルヴィの欲情を発散させてやりたいと考えながら腰を振る。

メルヴィは久しぶりにエルヴィーノの熱い飛沫を身体の芯で受け入れたいと望んでいる。




どれだけの時を過ごしただろうか。

辺りには2人の吐息と、股間が激しくぶつかり合う音で満たされている。

それ以外は

「愛している」

「私も愛してる」

「もう二度と離さない」

「もう離れないよ」

「ずっと一緒だ」

「永遠に一緒だよ」

愛し合う2人の世界では同様の言葉しか存在しないと思われるが現にその通りなのだ。


そして以前の様に”愛してる”の連呼が続いたあとは言葉が無くなり、口元の動きも無くなると、相棒に強烈な締め付けが襲い掛かる。

と同時にエルヴィーノの背中はメルヴィの両手の爪で鷲掴みにされる。


「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

強烈な締め付けと背中の痛みと絶叫に呼応するように相棒が臨界点を迎える。

「メルヴィィ、アイシテルぞぉぉぉぉ」

「あなたぁぁぁぁ!」

そう言い放ち、一気に激しい突きを繰り出した後に渾身の一撃をメルヴィの体内に押し込む。


メルヴィにとっては待ち望んだ愛しい男との”まぐあい”と受精に全身が震えていた。

身体の奥深くに有る”熱いモノ”を確かめる様に腰を捻り、相棒を咀嚼するように何度も締め付ける秘部だ。


「凄いよメルヴィ。いつの間にこんな凄い技を身に付けたんだ」


長い年月を我慢して身体が求めているだけだが、エルヴィーノにとっては妻達も持っていない高等技術だと相棒も体感したのだった。


エルヴィーノの体感はメルヴィには良く解らないので無視して欲望を曝け出す。

「もっと欲しいよぉ」

潤んだ眼差しで色っぽく口元から発したのは、メルヴィの更なる欲情だった。


勿論一度や二度で離れたりしないと抱きしめるエルヴィーノ。

そこから始まる愛の世界に我を忘れ、時間を忘れて快楽に没頭する2人だった。



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



個人的には、某エルフと三日三晩の経験が有った。

無論、メルヴィに対しては今まで出来なかった分それ以上の愛情で接しようと思っていた。


しかし、流石に五日間も続けっ放しは唇も腫れているので相棒も休憩を与えたい。

それでもメルヴィからは「足りないよぉ、もっとするのぉ」と催促のお願いでエルヴィーノは既に”まぐろ状態”で成すがままだった。


自分の上で激しく乱れるメルヴィの姿を見ているエルヴィーノは、六日経っても欲情している相棒の張り切り具合で、自身のメルヴィに対する欲望が満たされて無い事を自覚するのだった。


久しぶりだから。

それも原因だろう。

しかし、もう1つ始める前から解っていた事が有る。

それは匂いだ。

只の体臭では無い。

例の紫の妖精王と同様にメルヴィの身体から溢れる匂いと分泌液が異常に甘いのだ。


紫の妖精王と似てはいるが、明らかに違う匂いと味だ。

脳内では二つの判定が行われるが、当然の如く甲乙付けがたいし、紫の妖精王は”味の記憶”で、”今の味覚”とは比べようがない。


(せめて比べる事が出来れば・・・いかんいかん)

余計な考えで墓穴を掘る危険性を懸念して即座に甘い考えを切り捨てた。


メルヴィの必要な”精求”に流石のエルヴィーノも休憩を申し出るが、あっけなく却下される。

栄養の摂取に排泄以外は、”常に繋がって居たい”メルヴィなのだ。

勿論、メルヴィの認める休憩も”繋がったまま”動かないと言う暴挙を行なうのだ。


だが、最初は久しぶりなので”甘えているだけ”だと考えていたエルヴィーノは、日が増すにつれてどの妻よりも性剛だと思うようになっていた。

メルヴィの蜜壷からは絶えず蜜が溢れ出し、2人の熱で結合部分からは淫靡な匂いを醸し出している。

そしてメルヴィの腰使いも止まる事は無い。

他の妻達も同様だがメルヴィは更に上を行く。

まさしく”あのエルフ”よりも強い性欲だ。


相棒を直接”叱咤激励”する止まらない腰使いに、絶頂でもないのに動かないで居ると強烈な締め付けが何度も襲い掛かる。

まるで相棒に血液を送り込んでいる様な行為だ。

そのお蔭で? 相棒に休む暇は一切無い。


しまいには寝落ちする始末だ。

当然ながらそんな事は許されず叩き起こされるエルヴィーノだ。

「もぉ何で寝ちゃうのぉ」

「・・・少し位・・・良いじゃないか」

三日間のやり取りを毎日すると、流石に以前と違う事を思い出すメルヴィだった。


”以前とは違う”

それは、身体は”調整された複製”だが魂は同じ。

しかし、悠久の時を経た魂に以前の感覚が無かったのだ。

その事を自覚し解放されたのが七日目だった。


取りあえずは睡眠を取り体力を回復させようと思いながら爆睡するエルヴィーノの寝顔を見て微笑んでいるメルヴィだった。


(ヴィオをいつ呼ぼうかなぁ)


我慢に我慢を重ねて、待ちに待って再会した愛しい男と愛し合う行為にもっとけて居たいが、紫の妖精王を呼んで三人で体験したい欲望と、どちらも望むままに出来る幸せを手に入れて喜ぶメルヴィだった。


勿論、起きた後も永遠に求められるエルヴィーノだった。





Epílogo

エルヴィーノとメルヴィは同種族だが血族では無く、幼い時から兄としての認識が有る為に、お兄ちゃんと呼んでいるだけだが、関係を持ってから次第に”あなた”と言う言葉に変わって行く。

現状は昔を思い出してお兄ちゃんと呼んでいる。

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