第3部 神名録2 ヘイボスとイシュティア

◎鍛冶と財宝の神ヘイボスと愛と美の女神イシュティア


どちらも富と幸運の神。

ヘイボスは通称宝神と呼ばれ、イシュティアは通称美神と呼ばれる。

ヘイボスは主に金運を、イシュティアは主に恋愛運を司る。

ただし、イシュティアは神話でも賭博好きであり、博徒から幸運の女神として信仰される。

それに対してヘイボスは博打を嫌ったと伝えられている。

そのため、博打好きにとっては金運はイシュティアが司る。

この二柱の神はオーディスとフェリアとよく比較される。

天空を司どり、社交的で結びの神であるオーディスに対してヘイボスは大地の神であり、個人主義であり、いつも暗い場所にいる。

昼を司る清楚なフェリアに対して、イシュティアは夜を司どり、性に対して奔放である。



◎ヘイボスについて


ヘイボスは本来ならドワーフだけの神である。

ドワーフにとって最高神はヘイボスであり、オーディスではない。

人間は鉱山を所有せず、金銀銅に鉄を得るにはドワーフを頼らなければならない。

そのため人間はドワーフの神であるヘイボスを、金銀財宝をもたらす財宝の神として信仰するようになった。

また、ヘイボスは優秀な鍛冶師であり、その眷属のドワーフも工芸の民である所から、人間の職人達からも信仰されている。

ヘイボスは小振りな金鎚を持ち、背が曲がった老人の姿で描かれる。

彼は美男美女が多いエリオスの神々の中で唯一醜い姿である。

理由は神々の戦争の時に暗黒の大母神ナルゴルに受けた呪いのせいだとされる。

手に持っている小振りのハンマーは通称「打出の小鎚」と呼ばれ、振ると金銀財宝が出てくると人間の間で噂されている。

そのため人間の商人は商売繁盛の御守りとして、ヘイボスのハンマーを模したアクセサリーを持つ事が多い。

正式な妻はイシュティアである。しかし、性に奔放なイシュティアとの仲は既に破局している。

聖獣は針鼠で、聖鳥は燕。


※名前の由来はギリシャ神話のヘファイストス。

鍛冶の神です。またインドのクベーラ、大黒様にエジプト神話のプタハの要素を入れています。

そのためセクメトラの夫にしました。

第1章からの登場。






◎ヘイボス信仰


ヘイボスはドワーフの神であり、ほぼ全てのドワーフが信仰する。

また、人間の商人と職人にも信仰されている。

最初は人間の職人のみが信仰していたが、良品を作るドワーフと仲良くしたい商人も信仰するようになった。

ヘイボスはドワーフと人間で信仰が少し異なる。

工芸の神である所は同じだが、ドワーフにとって商業の神としての意味合いはない。

また、ヘイボスは山の神であり、鉱夫や樵の神でもある。

神殿はドワーフの国では大きなものが有るが、人間の国では商業が盛んな大きな国にしかない。小さな国では職人の作業場に小さな祭壇があるぐらいである。

神殿は商工会議所になっていて、商人や職人の憩いの場所になっている。

神殿には司祭に相当する者はおらず、神殿の最高責任者は商工会の会長である事が多い。

また、ヘイボスの信仰は人間等のエリオスの眷属の種族だけではなく、それ以外の種族も信仰している。

特に獣人の多く住むジプシールの地では獅子の女王の夫として崇拝されている。

その獅子の女王との間に猫の姫ネルフィティが生まれている。





◎ドワーフの国


人間に対してドワーフは魔物に襲われにくい。

醜い姿をして、肉もまずそうだからである。

そのため、魔物が多く、人間が住めないような場所でも住む事ができる。

また、ドワーフは魔法に対する耐性があり、強靭な肉体を持つので、過酷な環境でも生きる事ができる。

ただし、ドワーフは全て泳ぐことができず、カナヅチなので、水の中では生活できない。

そんな、ドワーフが多く暮らすのは鉱山である。

ドワーフは山間に都市を作りそこで暮らしている。ドワーフの国に住むのはドワーフとその妻と娘がほとんどで、異種族の男はわずかしか住んでいない。

ドワーフの国では親方と呼ばれる複数の年長者のドワーフが指導者の地位につく、年功序列であるのがほとんどで、血筋は重視されない。

政治の決定は親方の会合で決められるが、ドワーフの妻で作る婦人会が政治に参加する事もある。

むしろ、参加する方が当たり前で、実は婦人会の方が発言力が強い。

ほとんどのドワーフは妻に頭が上がらなかったりする。


※ドワーフの妻になるのは人間の女性だけとは限らなかったりします。


※ドワーフは必ずしも人間の味方ではなく、エリオスの眷属以外の他種族とも交流があり、場合によっては人間の敵になる事もあります。






◎ヘイボスに従属する者達


・商業の女神クヴェリア

彼女は天界の宝物庫の管理者である神である。

天界の宝物の全てはヘイボスのものである。しかし、実質的にエリオス全体のものとして扱われている。他のエリオスの神々もそう思っている。

最初はヘイボス自身が管理していたが、整理整頓は苦手だったので、それを見かねたフェリアがクヴェリアをヘイボスの元へ派遣した。

彼女の手腕は見事で、散らばっていた宝物を見事に整理した。その時に作った宝物の目録が最初の帳簿とされている。

整理整頓された宝物を見て、ヘイボスもクヴェリアに宝物庫の管理を任せるしかなかった。

クヴェリアは本来は宝物庫の神として、国の財務を担当する者から信仰されていた。

しかし、人間の商人にとっても財務管理は重要であり、ヘイボスの従属神として特に商業を司る神として信仰されるようになった。

人間の中にはヘイボスとは独立して信仰する者もいる。

信仰するのは会計役や商人、そしてドワーフの妻となった人間の女性が主である。

特に商人の中でも両替商や金貸しからは熱烈に信仰されている。

そのためか金貸しを嫌う者はクヴェリアも嫌う傾向にある。

また、ドワーフの妻が信仰するが、クヴェリアはヘイボスの妻とされる事はなく、夫はアルフォスとされている。

旅人を守るアルフォスと商業を司るクヴェリアは交易商人から夫婦神として信仰される事もある。

神殿は宝物庫そのもので、管理者が司祭である。ある意味ヘイボス以上に神殿の数が多い。

また、ヘイボス神殿のある国では神殿の管理者になる事もある。

ヘイボス神殿がある場所には必ずクヴェリアの神殿があり、そこには国の財産が収められている事が多い。

盗みの神ピスティスとは敵対関係にある。



※5章で名前のみの登場。

名前の由来はインド神話のクベーラ。


※ドワーフの妻でも人間の女性以外からは信仰されていいない。

例えばドワーフの妻となった猫人の娘は獅子の女王セクメトラを信仰します。




・ドワーフの戦神スプリグ

スプリグはドワーフのみに信仰される神である。

元は普通のドワーフであった。

しかし、ヘイボスがミノタウロスの邪神ラヴュリュスに攫われた時、スプリグは魔王モデスに救援を要請した。

そして、魔王と共にミノタウロス達と戦い、見事ヘイボスを救いだした。

その功績をヘイボスから称えられ、ドワーフの戦神としての地位を得た。

ドワーフは本来戦いをする民ではないが、スプリグの信徒であるドワーフは別である。

スプリグは倒したミノタウロスから奪った斧を戦利品として自らの武器として、その角を切り落として兜の飾りとした。

そのためスプリグの信徒は斧と角付きの兜を装備するのが通常である。

武装としては他に戦鎚(ウォーハンマー)やクロスボウを装備する事もある。

戦士となった者は工芸の能力は落ちるが、戦いの能力が高くなり、ドワーフの宝を守る者となる。

普通はドワーフの国から出る事はないが、武者修行として外に出る者もいる。

そういったドワーフは傭兵として他種族に雇われる事がある。

信義を守るドワーフの戦士は一度雇われたのなら、敵に同じドワーフがいても手を抜かずに戦う。

また、優秀なドワーフの戦士はスプリガンと呼ばれ、剛力剛体甲冑と呼ばれる筋力を高める鎧をドワーフの親方達から貰える。


※剛力剛体甲冑をアーマードマ〇スルスーツと呼んだらダメです(≧≦)


※ドワーフは手足が短く、体型が丸いので、普通の弓を使えない。その代わりクロスボウを使う。

クロスボウはドワーフの弓と呼ばれる事もある。





◎ヘイボスとクヴェリアを信仰する者達。



・ドワーフ王アーベロン

種族はドワーフ。

世界中のドワーフのまとめ役。

※9章で登場予定。


・金の指トゥリア

クヴェリア信徒の人間の中年女性。

豊かな大国であるアリアディア共和国で一番の資産家である。

元は貧しい生まれであったが、ドワーフと結婚してから人生が一変する。

ドワーフとの付き合いから得た資産を元に金融業で成功する。

今ではアリアディア共和国を動かす元老院議員の一人である。




◎貨幣について。


既に貨幣制度があり、金銀銅で作られるのが一般的。

しかし、魔物が多く人の少ない地域では、物々交換が行われる事もある。

また、山に囲まれた小さい国の中には国内では貝貨等を使い、交易の時だけ貴金属の貨幣を使う国もある。

そういう国では王が商人や旅人に宿を与えて、交易を独占する事が多い。

別に私腹を肥やすためではなく、城壁の改修等の公共の利益の為に外貨を貯める必要があるからである。

また、金銀銅よりも武器として優れた鉄の方が価値があるとされているトールズ信徒の間では、鉄貨が使われたりする。

もちろん商人は嫌がって、トールズ信徒とは取引をしたがらない。

金と銀と銅の交換比率は基本的に金:銀:銅=1:25:400で、銀:銅=1:16。

つまり、金1テュカムの重さに対して銀25テュカムで交換される。

当然金貨銀貨銅貨の交換比率も同じ。

貨幣は誰もが作る権利があるが、小国が作った貨幣や私鋳銭は信頼されない。

信頼されているのは大国が作った貨幣が主である。

有名なのはアリアディア共和国のテュカム貨幣と聖レナリア共和国のレナル貨幣。

レナル貨幣はテュカム貨幣を元に作ったので、金貨銀貨銅貨の重さが同じなである。

そのためテュカム貨幣とレナル貨幣は同じ価値がある。

上記2つの貨幣は他国でも使われている。

両貨幣には4分の1の重さである小銀貨、小銅貨もある。

その場合は金貨:銀貨:小銀貨:銅貨:小銅貨=1:25:100:400:1600となる。

最初は金貨と銀貨だけだったが、商業の発展と共に金貨と銅貨が増えて、さらに小銀貨と小銅貨が作られた。

金貨は一般的には使われず、大口取引か貯蓄用なのがほとんどである。

物価は国よって違う。

また、質の悪い貨幣の総称をヴィタと呼ぶ。



※商人について

商人の地位はこの世界では高くない。

魔物の多いこの世界では戦士が尊重されて、戦わずに利益を得る商人は侮辱の対象になる事が多い。

ただし、魔物の多い地域で危険を冒して交易をして、品物を届けるような商人は別である。



※ヴィタの由来は鐚銭。

テュカムの語源は掴む。

金銀銅の価値比率については紀元1世紀のローマを参考。


※両替商について。

貨幣を鋳造する権利は大国だけのものではないので、異なる硬貨が市場には存在する。そのため、両替商と呼ばれる商人が生まれた。

彼等の中には両替だけでなく、金銭や貴金属等品物を預かり、その金銭を元に貸付けを始める者もいる。

もちろん、自身の金銭を貸付ける者もいる。

つまり、この世界には銀行やその他の金融業者もいる。

大きなヘイボス神殿が発行した無記名式の金貨預り証は貨幣と同じように使われている。

ただ、彼等は汗水や血を流さずに利益を得ていると思われているので、嫌う者は多い。

欲張りなクヴェリア信徒の金貸しから、ピスティス信徒の怪盗が金銭を盗み出すと喝采される。

両替商の元ネタはトラペザ。


※利子について。

利子については国によって議論がある。

オーディスの司祭の中には利子を取る行為は、盗みと同じと言う者もいる。

ただし、期限を過ぎても返さない者への損害賠償は認められる傾向にある。

また、この世界には利息制限法がない国が多いので、利息は貸す側の匙加減となる。

これがクヴェリアが嫌われる原因だったりする。


※人間以外の貨幣の取り扱い。

基本的に人間以外の種族は貨幣制度が発達していない。人間と取引する種族が仕方がなく貨幣を使う事があるぐらいである。

そもそも、ヘイボスもクヴェリアも本来は商業の神ではない。貨幣制度も考えてはいなかった。








◎ヘイボスの恩恵


ヘイボス自身は信徒に恩恵を与えない。

自らの技を磨く事を推奨するからである。

実質的に恩恵を与えるのはドワーフである。

ドワーフの友になれば取引がしやすくなり、良品を手に入れやすくなる。大金持ちにもなれるだろう。

またドワーフは友となった者に祝福を与える。祝福を与えられた者はドワーフの能力が少し手に入る。



◎ドワーフの魔法


ドワーフは種族の特性として土系魔法と金属系の魔法に付与系魔法を使える。

使える魔法には以下の物がある。




・土中呼吸

土の中でも息が出来るようになる。


・土中遊泳

土の中を泳ぐように移動できる。


・大穴

地面に穴を開ける魔法。


・暗視

暗闇の中でも見る事が出来る。


・土転び

対象を転ばせる事ができる。空を飛ぶ者には無効。


・ノームの召喚

土の下位精霊であるノームを召喚して支配できる。


・自己治癒

自身の治癒力を高める。


・剛体

肉体の強度を高める。


・火炎耐性

炎に対して耐性を持つ事ができる。鍛冶をするのに最適な能力。


・精錬

鉱石から純粋な金属を取り出す。


・鉱脈感知

近くにある山の中の鉱脈を発見できる。


・魔法具作成

魔法の道具を作る事が出来る。

スプリグの信徒は使えない。


・ゴーレム等の作成

ゴーレムやタロスを作る事が出来る。

スプリグの信徒は使えない。


・ドワーフの技

魔法と言うよりも能力。優れた道具を作る事が出来る。


・撰銭

質の良い貨幣と、悪い貨幣を見分ける。メッキをしていてもドワーフの目をごまかす事はできない。


・鑑定

あらゆる道具を鑑定する。ドワーフに不良品を掴ませるのは至難の業である。


・道具への呪い

自身が造った道具に呪いをかける事ができる。呪われた道具を使う者には災いが訪れる。


・粉砕

メイス等の打撃武器の威力を高める魔法。そのため、この魔法を使う時は打撃武器を持っていなければならない。

オーディスとフェリアの信徒が使う魔法と同じ。


・鋭刃

斧等の刃を持つ武器の切れ味を高める。


・鋼体

体を鋼のように固くする事が出来る。その代わり動きが遅くなる。

※上記以外も多くあります。


※この世界のフルプレートの鎧はほぼドワーフ製の物です。人間も作る事が出来ますが、ドワーフ製のように軽くて頑丈な物は作れず、実用的ではないです。





◎クヴェリアの恩恵


クヴェリアは本来なら恩恵を与える神ではない。

しかし、ピスティスの信徒に対抗するために、信徒に恩恵を与えるようになった。

以下の恩恵を得られる場合がある。


・施錠

特定の者しか扉を開けられなくなる。


・侵入者感知

自身の管理する領域に侵入者が入ったら感知できる。


※ほぼ上記のみ。




◎ドワーフの聖地ヴェルンド


エリオス山の聖域の地下にあるドワーフの都。

ドワーフの技術の粋を集めて作られた都市である。

いくつもの階層を何重にも重ねた都市の至る所に、動く床やロープも何もないのにエレベーターのように上下する石等があり、都市の各区域を繋げている。

光輝く宝石に彩られた美しい都市である。

ヘイボスの聖地であるこの都市は、ドワーフ達にとって特別な意味を持つ。

この地に住める者は選ばれたドワーフとその家族のみである。




◎イシュティアについて


イシュティアは愛と美の女神であり、恋愛を司る。また踊りや大道芸の神でもある。

賭博好きであり、博徒に幸運を与えると言われる所から、幸運の女神とも呼ばれる。

イシュティアは主に薄い衣を纏った美しい女性の姿で描かれる。

フェリア、レーナと共に三美神の1柱。理想の女性を体現している。

本来はオーディスが神の王であるが、その信徒にとっては彼女こそが天の女王である。

信徒でない者でも、恋愛成就のためにイシュティアに祈る時もある。

彼女に仕える天使は愛の天使と呼ばれ、人間を助ける事もある。

女性の愛の天使は特に天女と呼ばれ、彼女達の愛を得たいと多くの男性が思っている。

そして、性に奔放なイシュティアは多くの夫を持っている。

正式な夫はヘイボスだが、海の神トライデンとの間に詩の女神ミューサを生んでいる。他にもエリオスの神だけでなく、その他の神の妻になる事もあり、多くの子を産んでいる。

神族だけでなく、人間とも一夜を共にする事がある。人間のような下位種族と交わる女神は彼女だけである。

多くの愛を持つイシュティアであるが、特に愛したのはアルフォスとされている。

特にアルフォスの養育権の話は有名である。

アルフォスは最初はオーディスとフェリアに養育される予定であった。

しかし、生まれた時から美しかったアルフォスを自身の元に置きたいと思ったイシュティアは、フェリアと養育権を争った。

結局アルフォスは一日の半分をオーディスとフェリアの元で、残りの半分をイシュティアの元で育てられる事になった。

アルフォスに譲る前は彼女が歌と芸術の神であり、芸人はアルフォスとイシュティアを共に崇拝する事が多い。

踊りの道具して扇や曲刀や帯を持ち、聖獣は兎で聖鳥は孔雀とされている。

イシュティア教団が運営している賭博場では聖獣である兎の格好を模した女性が、客に一時の夢を見せてくれる。


※元ネタはイシュタルやアフロディーテ、ヴィーナス。

弁財天やキュベレイにイシスの要素もあります。

そのため、ホルスが元ネタのハルセスの母となった。

フェリアと同じく6章で登場。

エロの神様。

レーナと同じぐらいの美女。胸は少しだけレーナよりも大きい。

フェリアとは仲良しだけど、その信徒達の仲は悪い。

剣の舞姫ソードダンサーと呼ばれ、実はシロネよりも強い。

もっとも自身が戦う事はなく、信者である男性に戦わせる方が好き。

アルフォスとの話はアドニスが元ネタ。




◎イシュティア信仰


イシュティアは恋愛や幸運の神として多くの者が信仰している。

また、娼婦や踊り子や芸人に盗賊の守護者とされる。

複数の恋愛を認めて、愛を縛る事を禁止しているイシュティアの信仰は結婚制度とは相性が悪く、その信徒は教義上結婚出来ない。

当然結婚の女神であるフェリアの信徒とは仲が悪い。

神殿は大きな国の城壁の外にある事が多い。

城壁の中に住む事が出来ない非市民階級の心の拠り所になっている。

イシュティアはフェリアと同じく女性の守護者でもあり、その教団も女性を保護する。

ただし、フェリア教団が主に市民権を持つ女性を保護するのに対して、イシュティアは非市民の女性を保護する事が多い。

フェリア教団も非市民の女性を無視している訳ではないが、どうしても寄付金の多い市民権を持つ女性を優先せざるを得ず、結果的に手が回らなかったりする。

そのためフェリア教団が救えなかった女性をイシュティア教団が保護しているといえる。

教団に入る事ができるのは女性か、性器をイシュティアに捧げた男性のみである。

その構成員の多くは娼婦である。

教団に所属する娼婦は神聖娼婦と呼ばれ、男性から崇拝されている。

イシュティアは性愛を司るためか、娼婦の教団での地位は高い。

女性上位の教義なので、客は買うのではなく、貢物を捧げる事で愛を得ているという見解である。

選択権は娼婦側にあり、多くの貢物を捧げても愛を得られない男もいる。

また、見返りを与えない事はイシュティアの教義上問題ない。

神聖娼婦を傷つける事は大罪で、傷つけた男は不能の呪いを受けるか、もしくは暗殺される。

教団は組織を守るために暗殺者を隠れて育成している。

教団の資金はフェリア教団と違い、娼婦の上納金と賭博場から得られる収入がほとんどである。

なぜならフェリアと違い、イシュティア信徒には貧しいものが多く、また国の保護を受けられないからである。

イシュティアの教団の聖職者は司祭とは呼ばれず、巫女と呼ばれる。また教団の最高指導者は大巫女と呼ばれ、姉巫女、巫女が下に続く。

巫女になることが出来るのは美しく聡明な娘のみである。

神殿は巨大な娼館であり、賭博場でもある。また、イシュティアは踊りの神でもあるので、劇場もあったりする。

人間以外ではエルフのドライアドやオレイアドから特に信仰されている。

またエリオスの眷属の種族だけではなく、それ以外の種族からも信仰されている。

例えばヘイボスと同じようにジプシールでは主神ハルセスの母として信仰され、スケベなケンタウロスやマーマン等からも崇拝されている。


※教団が保護した男の子は成長すると教団から出て行かなければなりません。もしくは下位であるピスティスの教団に入ります。


※オーディスとフェリア神殿は公営である事が多く、国庫から資金が出ています。ヘイボス神殿は金持ちの商人が寄進するので資金に困ることはありません。


※オーディスとフェリアの教義では賭博と売春は禁止されています。



◎暗殺者


イシュティア教団は暗殺者を育成している。

暗殺者はアサシュという特殊な霊薬を使う所からアサシンと呼ばれる。

アサシュは使用者の全ての能力を高める力がある。

ただし、副作用もあり、正しく使わなければ死ぬ事になる。


◎イシュティアに従属する者達


・盗みの神ピスティス

元々はエリオスの神ではない。

その姿は六指四腕の小さな猿神である。

エリオスの天宮に盗みに入ったピスティスはアルフォスに捕らえられてしまい、命乞いをした。

ほとんどの神が彼の命乞いを無視したが、イシュティアだけは面白そうだと、彼を助ける事にした。

それ以来ピスティスはイシュティアの忠実な僕となった。

ある日イシュティアはヘイボスの持つ、首飾りが欲しくなり、ヘイボスに首飾りを渡すようにお願いした。

しかし、ヘイボスはイシュティアに首飾りを渡さなかった。

それを知ったピスティスはヘイボスの元から首飾りを盗み出して、イシュティアに渡した。

それを知ったヘイボスは怒り、オーディスに訴えた。

オーディスは首飾りとピスティスを引き渡すようにイシュティアに言ったが、イシュティアは聞かず、ピスティスを擁護した。

この神話から、イシュティアとピスティスの信徒にとって、イシュティアのために盗むのであれば、その罪は許される事になったのである。

具体的には盗んだ金銭の何割かを寄進するか、神聖娼婦に貢か、賭博場で金を落とせば良い。

また、直接な暴力は嫌うので強盗をする者には加護を与えない。信徒も暴力は禁止である。

ただし、イシュティアの敵は別。



※7章で登場。

名前の由来は魚座のピスケス。

最初は美少年という設定でした。


※他にも従属する男神はいます。

後で書くかもしれません。


◎イシュティアとピスティスを信仰する者


・踊り子にして暗殺者シェンナ

アリアディア共和国に拠点を置く劇団「ロバの耳」に所属する踊り子。

その美しき踊りは多くの者を引き付ける。

しかし、その正体はイシュティア教団に所属する暗殺者である。

母親も暗殺者であり、教団により幼い頃から暗殺者として育てられた。

その事は兄であるデキウスは知らない。

※5章で登場。


・怪盗ブラックラビット

ピスティス信徒である盗賊。

性別と年齢が不詳の者である。

金持ちから盗んだ者を貧しき者に分け与える所から義賊と呼ばれる。

多くのクヴェリア信徒から懸賞金をかけられている。

※登場予定は今のところなし。



※他にもいます。



◎イシュティアとピスティスの信徒が得られる魔法


イシュティアは女性にだけ魔法を与え、男性にはピスティスが与える。

両者が与える魔法には以下の物がある。


・暗闇

魔法の闇で対象の視界を遮る。


・暗視

闇の中でも見る事が出来る。


・幸運

運が少し上がる。


・不運

運が少し下がる。


・幻影

様々な幻を作り出して、相手を惑わす。目の見えない者には無効。


・睡眠

対象を眠らせる。


・壁歩行

壁を歩いたり、走ったりできる。


・麻痺

相手の体を痺れさせる。


・罠感知

仕掛けられた罠を発見できる。


・物体感知

視界が遮られた場所の様子を探る事ができる。

完全に密封された場所は感知出来ない。


・開錠

鍵のかかった扉を開く事ができる。


・虚言

嘘を相手に信じさせる事が出来る。


・爆笑

対象を笑わせる。


・探知妨害

あらゆる感知や探知、追跡等の魔法を妨害する。


・跳躍

ジャンプ力が高くなる。


・変身

姿を変える事が出来る。

体格差があり過ぎる物には変身出来ない。


・若さ維持

老けにくくなる。

女性のみがこの魔法を得られる。


・魅力向上

魅力が上がる。

女性のみがこの魔法を得られる。


・魅了

相手を魅了する事が出来る。

女性のみがこの魔法を得られる。


・避妊

性交しても子供が出来ない魔法。効果は一日。

女性のみがこの魔法を得られる。


・不能の呪い

男性を不能にする事が出来る。

女性のみがこの魔法を得られる。


・伸びる腕

腕をゴムのように伸ばす事が出来る。

男性のみがこの魔法を得られる。


・六指

左右の手の指を一本増やす事が出来る。登攀能力が高くなる。

男性のみがこの魔法を得られる。



・輝く尻

尻を眩しく光らせて相手の目を晦ます。

閃光と同じ効果。ただし、魔法は尻から出る。

男性のみがこの魔法を得られる。


・激臭の屁

とんでもなく臭い屁を放つ、風向きによっては自身にダメージ。

男性のみがこの魔法を得られる。

たまに失敗して、「み」が出る事がある。

失敗すると隠密が難しくなる。


※上記以外も多くあります。



★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★


相変わらず文章がめちゃくちゃですね。ごめんなさい。


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