第234話 李信対覇王妃  (23)

 いくら我等が、『籍よ~! 早く~! 美しい~。拍殿の助けておくれ~! でないと~? ほんとうに彼女の美しい容姿が~。無残な姿になってしまうから~!』と、願をかけながら願ってみても~?


 当の本人である籍の姿はないのだから致し方がないのだと。我等は今、この場いない者のことを思案するよりも?


 先程李信が振り下ろそうとした戟に弓を当てた強者は誰なのかを調べ確認をとる方が先なのでは? と、急に思い出したのだ。


 だから我等は? 矢が飛んできた方へと視線を変える──!


 と、同時に?


「ふう~。何とか~? 間に合った~!」と。


 女性の声色での安堵した台詞が、我等の耳へと聞こえてきたのだ。


 だから我等は?


 その声の主は、『誰だ~?』と思う。



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