第82話 謎の少女の正体は?(6)
不満を呟く。と、言うか?
怪訝な表情をしながら、健司の目の先──彼が凝視しながら追っている者を、籍自身も目で追うと、言うか? 見詰めるのだよ。
「ああ、胡亥(こがい)」
そう、彼が、ではなく。籍の級友である健司が、己の目で追っていた者は、怪しく、麗しく、煌びやかな少女……。籍と目が合うと「フフフ」と、年齢に不釣合いな、淑女の妖艶な微笑を浮かべる異国の少女胡亥(こがい)だったのだ。
だから籍は、己の口から彼女の名、胡亥(こがい)と、言葉を漏らす、だけではない。
「どうしたんだ。胡亥?」と。
自分達二人……。
そう、籍自身の机を挟んで、前後に向き合い話し。胡亥(こがい)がくれたSGLゲームの話題に花を咲かせながら会話する。籍と健司に向けて、胡亥(こがい)は、これまた、年齢に不釣合いな優艶な歩行スタイルであるモンローウォークで『カツカツ』と、足音を立てながら。二人の少年の方へと向かってくるのだ。
だから籍は、ではなく。健司は己の顔を緩ませ、目尻を下げ、鼻の下、口の端までもしまりなくなくたるませながら。
「胡亥(こがい)さん……」と。
自身の目を虚ろ、酔いしれるように、彼女の名を漏らすのだ。
でッ、彼。健司と前後に向き合うように、後ろに座る籍の方はと言うと?
「何か用事か?」と。
先程籍が胡亥(こがい)へと問いかけた会話の続きをおこなう。
「籍~。何か用事って? 貴方と、山下君がわらわの事を見て、会話をしているから。わらわの方が『二人共、どうしたのかなぁ~?』と思って。こちらにきたのですが。わらわは、何か可笑しい事を籍~。貴方に問いかけましたか~?」と。
胡亥(こがい)は、自身に見惚れ、酔いしれ、呆然としている健司のことは放置して、籍へと不満を漏らす。
そう、呟くのだ。
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