第62話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(5)

 梁が籍のためにと愛情一杯込めて作り、用意をした愛妻味噌汁……ではなくてねと。(笑)



 まあ、梁が一人息子のためにと真心込めて、せっせと作った──母の味……。



 そう、この家の家庭の味であり。未だ拍自身も真似することができない優しい味のする【お味噌汁】を籍は、己の口の中に注ぎ込み──味わい堪能……飲み込み終えると。


「美味い~!」


 と、歓喜をあげる。



 ……だけではなくて。


「やっぱりお味噌汁は、母さんのが、一番美味しい」


 とも声をあげるのだよ。相変わらず笑みを浮かべ続けながら。余は満足! 満足じゃよ! と、でも梁に言いたい。


 と、言うよりも?



 己の大事な物に対して、褒め称え労いたい衝動に駆られるほど、梁の作った【お味噌汁】が、この世界で一番だと褒め称える。


「えっ? 本当に~? 籍~?」


「うん、そうだよ。母さん~。母さんの作ったお味噌汁が、この世界で一番だ」


「そうかなぁ~?」


「そうだよ。母さん……。だって本当に、母さんが作ったお味噌汁は、美味しくて仕方がない……」と。


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