第48話 御対面?(10)

「あっ、あん、あああ~。籍~、籍~、愛している~。お姉ちゃんは~。籍の物だけだからね~。あああ~」と。


 拍は、甘くて淡い嬌声を漏らしながら、自身の物である籍へと。己の裸体を摺り寄せ──甘え戯れる、だけでは拍殿は済まさないようだね?



 そう。彼女は? 己の持つ艶やかに怪しく光輝く唇で、愛おし彼の頬や首筋──。耳や唇を貪りながら尽くし奉公しながら歓喜するのだ。


 自身の後方には、ダークエルフの精霊さまだけではなくて、彼女の姉であり。籍の実母である梁殿がいることすら忘れて、歓喜の声を張り上げ──。自身の大事な宝であり、主さまでもある籍に尽くし奉公を続け、優艶に舞いに舞うのだよ。


 と、なれば?



 先ずは?



 先程から拍のことを、自分自身も余り変わらないことをしていた癖に棚にあげて、『この変態。淫乱痴女目が~』と罵声を放っていたダークエルフの精霊さまが。


「うぉ、おおお~。こ、この~。くそ女が絶対に許さん~! 許さん~! 貴様だけは必ずこの儂が直に直接殺し。その裸体を必ずバラバラに引き裂いてやるからな覚悟をしておれよ~。この変態~。スケベ~。淫乱痴女がぁあああ~!」と。


 負け犬の遠吠えとは良く言ったものだと。思わず言いたくなるような汚い罵声を放ち始めた。


 それを……と、いうか?



 その様子を拍殿は、自身の唇の端を吊り上げ「フフフ」と苦笑しながらダークエルフの精霊さまに対して勝利宣言をしてみせる。


 と、なれば?



 拍殿に侮ら蔑みされた精霊さまは、更に憤怒──。究極まで己の怒りに火をつけ燃えさせるのだよ。業火の如く。


 だから彼女……。




 そう、彼女の本当の正体を未だ皆は知らぬが。ダークエルフの精霊は自身の名を。

「女~! 貴様~。覇王である儂を愚弄したなぁあああ~!」と。


 覇王項羽が怒号を放った瞬間に。


「拍~! 貴女~。家の籍(子)に何をしているの~・ 先程も言ったでしょうに~。籍と貴女は、甥と叔母の関係だと~。なのに、貴方は~。籍の母親である私の目の先で一体何をしているの~? 先程私が拍~。貴女に~。籍と深い関係にあるのではないか~? と、訪ねた時に無関係だと。確か貴女は言った筈~。なのに~、今貴女は~。家の息子と優艶に戯れて~。一体何を考えているの~。拍~」と。




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